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僕をからかってくる後輩・佐伯さんとのゆるゆる同居ライフ「佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫) 九曜」

あらすじ

ちょっとHな女の子と同棲してみませんか?

高校二年生の春、ひとり暮らしを始めるはずだった僕こと弓月恭嗣は、何の冗談か不動産屋の手違いで、ひとつ年下の佐伯貴理華さんなる女の子と同居するはめになってしまった。
やたらと距離を縮めてきたがる彼女に、ささやかな抵抗を続ける僕だったが、なんと彼女も同じ高校!
学校でも家でも彼女に振り回される日々が始まって――。

常に冷静な弓月くんと、とびきりの美少女なのにちょっとHな佐伯さんが繰り広げる同棲&学園ラブ・コメディ、開幕です。

僕をからかってくる佐伯さんとのゆるゆる同居ライフ

あらすじ通りに言うならばちょっぴりえっちな言動をして僕を揺さぶってくる佐伯さんとのほのぼの同居ルームシェアライフの物語。

「弓月くん、お風呂沸いたよ」
 背中で佐伯さんの声を聞く。
「お先にどうぞ。僕はもう少し片付けておきたいので」
「じゃあ、そうする。……覗くなよぉ?」
「覗きませんよ」
「む。そっけない反応。面白くないの」
 どうやら僕はご期待にそえなかったらしく、佐伯さんの口調には若干不満の色が滲んでいた。
「これくらいで動揺してたら、このさき身が保たないでしょうからね」
   (中略)
「どうかしました?」
「一緒に入る?」
「っ!?」
 さすがにこれには平常心を保てなかった。危うくつんのめって、段ボール箱に頭から飛び込みそうになる。
「これから一緒に暮らすわけだし、親交を深めるのって大事だと思うなー。だったら、お風呂ってちょうどいいんじゃない? 学校の水着くらい持ってるでしょ?」
「な、何を……」
 本気か? と、振り返れば、彼女はぎょっとしている僕を見て、してやったりとばかりに笑っていた。また僕をからかっていたらしい。

最初っから主人公へ好感度MAXな雰囲気、もしくはからかい上手の高木さん的なテンションで迫ってくる佐伯さん。やってることはえっちぃ(男女逆ならば一発アウトのセクハラ風味ですらある)言動なのに小悪魔にならないところがすごい。ぎりぎり清楚というか、可愛いというか、そんなラインで収まっている。
これって表紙のフライさんの力もあるんだろうな。表紙で本を選ぼうとした時に最初に目に入ったフライさんのイラストが頭にあるせいで、えっちよりもどことなく簡単に折れてしまいそうな後輩の女の子の雰囲気がある。それが本文からも滲んできているのか、それとも私が表紙に目を奪われその印象を最後まで崩せなかったのかわからないけれども、佐伯さんは最初から最後まで、時々主人公を揺さぶるけれども可愛い後輩の女の子だった。

佐伯さんもギリギリのラインで可愛さを維持しているが、主人公もまたすごい。この主人公、難聴主人公ではない。
相手の考えていることを理解しているし、読者が察する程度の他者からの好意は察してくれている。おかげで読んでいて地味なストレスがなくて良かった。読んでいて楽しい。

個人的に好きなのは宝龍さん。

「お互い好きでもないのに付き合ってみた男女を、僕は知っています」
「奇遇ね。私も知っているわ」
「……茶番でしたね。あれと同じ轍は踏みたくないものです」

そんな会話を静かにこなす高校生。そんなん惚れてしまうだろ。

 

ちょっと気になったのはストーリーのほうで、あんまり話自体が進んでいるなと思えなかった。
主人公から佐伯さんへの好感度は少しずつ上がっているように思えるけれども、主人公の内面の描写が薄めで(おそらくわざと)さっぱりとした空気にされているので、どのぐらい現在佐伯さんを好きかわからない。
佐伯さんは最初から好感度がめっちゃ高い。じゃなきゃこんな雰囲気の女の子が他人と同居キメないでしょ。
キャラとキャラが近づくだとかそういうのもなく、なんとなくほのぼのとした空気の佐伯さんとの同居ライフを読むにはいいんだけど、もうちょっとそれぞれの感情が動いてほしかったかも。

そういう意味では最初は主人公へ好意はなく友情しかないような空気だったのに、佐伯さんとともにいて雰囲気が変わった(らしい、佐伯さんといる主人公しか見てないからわからないけど)主人公に対して興味を持ち、これからなにか仕掛けてくるような言葉を残した宝龍さんのこれからが気になる。