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至極真面目でどこかずれた異文化交流「Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫) 古宮九時」

あらすじ

WEBで読者を熱狂の渦に巻き込んだ珠玉の異世界ロードファンタジー、大幅加筆修正で待望の書籍化!

『小説とかドラマって不思議だと思わない? 異世界でも言葉が通じるなんて』
ごく平凡な女子大生・水瀬雫は、砂漠に立ち尽くしていた。不思議な本を拾った彼女は気づけば"異世界"にいたのだ。
唯一の幸運は「言葉が通じる」こと。
魔法文字を研究する魔法士の青年・エリクに元の世界の言語を教える代わり、共に帰還の術を探す旅に出る雫。しかし大陸は二つの奇病――子供の言語障害と謎の長雨による疾患で混乱を極めていて……。
自分に自信が持てない女子大生と、孤独な魔法士。出会うはずのない二人の旅の先、そこには異世界を変革する秘された物語が待ち受けていた。
「言語」と「人間」を描く、感動のファンタジー登場!

至極真面目な異文化交流

偶然出会った図書館勤めの青年・エリクに雫が自分の世界の言葉を教えていくシーンがすごく面白い。

飄々とした文系青年(魔法と剣も使えるが雰囲気文系青年)と、どこかほっとけない雰囲気を持った大学生少女(ごくごく普通の図書館にいそうなタイプの大学生)の異文化交流が好きな人にはぜひおすすめ。 ちょっとすっとぼけた異文化交流な雰囲気がすごく良い。

 

エリクは知識欲旺盛な青年で、自分の知らないことをどんどん知りたい。この世界から自分の世界へ帰りたい雫に協力し調べられそうな国へと送っていくことになった際も「代わりにそっちの言葉を教えて」と言ってくるような知識への貪欲さ。そして、知識が貪欲ならば、事前に持っている知識量も多い。
そんな彼に雫が言葉を教えていき、こちらの世界とあちらの世界の差異が明確化されていく流れがすごく面白い。

雫が「私の名前は雫です」「My Name Is Shizuku」などと複数の言葉で書いていき、エリクはそれらの文法の違いや呼び名の違いについて訊いていくんだけど、ああ確かに言われてみればそうだな?とおもう観点が多くて面白い。
私は語学はからっきしなので英語とドイツ語が似てるなんて全く知らなかったんだけど(第二外国語じゃないので……)、それに雫が大学生としての知識で解説していくからまた面白い。

そして明かされる、エリクらがいる世界では、そもそも言葉の違いというものがないという事実。別の国でも同じ言葉を使っているというあたりに、うわここ本当に異世界なんだな!と思わされた。

チートのない異世界転移

このあいだ読んだ異世界転生がチート強かったからか、主人公のみに付属されたチートがほぼない設定に何故かほっとしてしまった。

一応《この世界の人間ではないから瘴気の影響が薄い》という特徴はあるんだけれど、逆に言えばこんなん他にも異世界から来た人間がいたら当てはまるからね。
しかも主人公がある程度ダメージを与えたら直後この世界の一般人(一般人ではない戦闘力を持っているが)がとどめを刺すしね。

それがどことなく不思議な感じで、そして面白かった。

成長物語

としても面白かった。

最初、雫は剣を怖がる。それが最後は剣を持って立ち向かう。その流れが全然違和感なくて理解できて納得できた。
同じような成長部分が他にもいくつもあって、どれも安心して読めてすごく良かった。

ものすごく好き、とまではいかないけれど、かなり好きなお話だった。