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残念脳筋令嬢が必死で猫の皮を被って後宮へ「武姫の後宮物語 (カドカワBOOKS) 筧千里」

あらすじ

貴族令嬢として生まれながら、なぜか社交界ではなく戦場に身を置き、恋愛など見向きもせずに鍛練一筋の人生を送ってきたヘレナ。
そんな彼女が正妃候補に選ばれ後宮入り!?
宰相である父親に“自分の役割を全うせよ”と、正妃の座の争奪戦が巻き起こる後宮に放り込まれたヘレナだが―。

「…私の役割。ええと、陛下に剣を教えるとか、か?」
28歳、侯爵令嬢(脳筋)。女の欲望&陰謀渦巻く後宮で年下皇帝の心を射止められるか!?

残念脳筋令嬢が必死で猫の皮を被って後宮

令嬢というより武将という方が正しいようなそんな肉体派主人公が、過去の悪法により後宮にあげられ女の園でどうやってやっていけば良いのだ……と焦ったところ、そんなお前こそを待っていた、武力としてのお前を待っていたのだという殿下とうまいこと意気投合してやばい出来事を乗り越えていく物語。
趣味は筋トレ、基本は脳に筋肉が詰まっており難しいことはわからない、口がまともに回るのは戦いについてのみ、後宮に来るにはとうがたった28歳武力派という主人公の圧倒的キャラが強くめちゃめちゃに面白かった。

主人公を知る人たちから一貫して「こいつは馬鹿」「こいつは脳筋」「こいつを後宮とか大丈夫か」「こいつは馬鹿」という扱いの主人公が、実は切れ者……という流れなどまったくなくマジモンの脳筋でめちゃくちゃ笑ってしまった。
彼女との会話で諸々勘違いした殿下が「彼女はすごい女性だ」と惚気にしか見えないセリフを吐くシーンで、過去の主人公の上官が「いや彼女は馬鹿ですが」と真顔で返してしまうあたりがたまらない。
実は……が一切なく、マジモンの脳筋でただのやべえ武力まみれの人なのがいっそ好感が持てる。

「しかし、貴様の推挙とは異なるな。グレーディア」
「……どういうことでしょうか?」
「貴様の評価では、軍略にこそ明るいが、それ以外についてはあまり考えない性格だと言っていたではないか。だがヘレナは俺の言葉の裏を読み、己の重責を理解していた。そのような聡い娘だと最初から言っておいてくれれば、俺も試すような真似はしなかったというのに」
「……聡い、ですか?」
「ああ、素晴らしい。己を正妃扱いとする重責を理解しながら、しかしそれを受け入れる広い度量を持つ娘だ。十も年上など問題はあるまい。この一連の騒動が終われば、正式に正妃として迎えても良い」
「陛下……恐れながら」
 そんなファルマスの評価を聞きながら、しかし以前よりヘレナを知るグレーディアは、首を傾げる。
  (中略)
「……ヘレナは、馬鹿ですが」

元上司ーーーーー!!!! 元上司ーーーーーーー!!!! もうちょっと言葉を選べーーーーーー!!!!

基本戦法が突撃! 剣を振る! な主人公が、とりあえず「なるほど」と頷いている間にまるで理解した上で納得しているかのように殿下に勘違いされまくるというあたりに笑ってしまった。
事前に上司に突っ込まれていたとはいえ! こんな最高のタイミングで発動するか!

そんな主人公、こんな状況だからご令嬢としてのお勉強など皆無。
そのため「なんで殿下はあなたみたいな女のところに行くんでしょうね」と問われたときに「色恋に長けた女のほうが良いんじゃないの」といった発言をしてしまう。いやいやいや後宮に来るご令嬢的にそれはどうかと思うよ!とこちらはなるものの、主人公にとってはそういう女性は身近にいた男連中が話す娼館のかっけー女たちの仕草。うんうん……わかるよ主人公……お前のその残念脳はわかるものがある……。
これだけじゃなくひたすらご令嬢としてはやばいことをやりまくり、片っ端から上官の妹である侍女に突っ込まれまくっているのが面白すぎる。

他のご令嬢に喧嘩売られても最終的に「こっちはいつでも首を取れるんだぞ」とアピールしてそれを止めさせる。
どうみても猫たちの中に放り込まれた虎。猫の皮をかぶろうとしているけれどもサイズが違うから全然かぶりきれてない。
屋根裏に紛れ込む間者の気配に気付いて簡易槍でさくっと突き刺し殺すあたり、どう頑張っても紛れ込めない。この脳筋は虎。

結論としてひたすらキャラが強いし濃ゆい。

なんだかんだ言って殿下、主人公のこと好きだよね

という彼女を、殿下めっちゃ好きだよね。

初っ端で美姫扱いしているときに思ったけれど、殿下、主人公がストライクすぎないか。
殿下以外の誰も主人公をまともに美人扱いしてないんだよな。他キャラの視点がほぼないからとはいえ、もし美しかったら外見ぐらいはなにかいわれるはず。具体的に言えば星や月との言い合いのシーンで嫌味の一種として外見に言及ぐらいされるはず。
それすらない主人公に対して、世辞とは思えない態度で美姫表現する殿下、初っ端から主人公を好きすぎないか。

去り際に超さりげないちゅーも含めて好きでしょ。これどう見ても好きでしょ。
前述の通り彼女の元上官に「いや馬鹿ですが」扱いされても主人公はすごく良い女性だと思いこんでるあたり、完全なる恋でしょ。

そんな殿下に主人公もしっかりと恋し始めているのがめちゃかわいい……。
ほっぺちゅーから意識して心臓ばくばくしまくってるし、殿下が他の女のところに行くと言われれば自分では理解しないながらも嫉妬する。
この距離感! 絶妙な未自覚! とりあえず筋トレ!!
初々しいしかわいいしたまらない……でもこの主人公、格好いいと思う色気のある女が娼館の女なのでこのままほっとくとやばいと思う。

 

同じ作家さんの『公爵令嬢は騎士団長の幼妻』は全く合わなかったけれどこれはものすごく面白かった。