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舞台を見たので原作も読んだよ。「魍魎の匣」京極 夏彦

あらすじ

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。

舞台が面白かったので、原作も読んでみた

舞台がもーーーー冗談みたいに良くて最高で最高だったので、これは原作も読みたい!と手にとった。

morelovelike.hateblo.jp

ちなみに電子書籍で買ったのに、図書館で映画版を借りるついでに実物も見たいなーと書庫から出してもらったら、そのまま戻してもらうのも申し訳なくて借りてきてしまい、結局ハードカバーで読みました(電子で買った意味が無い)。
でもおかげで本の頁に合わせて改行をしているという無茶苦茶なことを知れて良かったというか、やべーなこれ……。すご……。

京極夏彦氏はここまで「読みやすさ」を追求していた 版面の細かい制御のため、InDesignで小説を執筆 | JBpress(Japan Business Press)

 

普通の感想ではなく、舞台を見た後に原作を読んだら、という感想。
ちなみに舞台を見た次の週あたりに映画版も見た。

映画版と舞台版では時系列の順列が大きく違っており、どちらが正しいのか? 舞台はわかりやすくするために時系列を整理していたのだろうか? と思いつつ原作を読むのは楽しかった。
感想として、映画はどうしてああなった……と思ってしまったのだけれどもこれで良いんだろうか。いや、こう……よくわからなかったよ映画……。

ひたすら必要な部分のみを残し、枝葉を切り落とした舞台

図書館で実際に出してもらってびびったのは、とにかくとんでもない分厚さ。えっ……なんかページ数やばいんですけど……。1000頁とかあるんですけど……(私が出してもらったのはハードカバー版)とビビってしまったし、これにあの2時間10分が詰まっているのか? と思ったし、原作既読組が本当に2時間で!? と言っていた意味がわかった気がした。

 

で、実際に読んだところ、ほとんど覚えているシーンばかりだ。

語り合う少女、宗教に傾倒する母、加菜子を案ずる雨宮、鳥口くん、京極堂のところに集う面々、敦子ちゃんすげえ可愛い、榎木津礼二郎めっちゃ面白い人だな、御筥様、憑き物落とし。
どれもこれも見たシーンばかりだった。

もちろん、多数の文章が、舞台からは削られている。
主に京極堂の薀蓄だ。魍魎についての説明、霊能力者とその他諸々の違い、魍魎は四方にいるのです、その他諸々、諸々。
それから木場の過去や、陽子が脅迫状を怪しげな脅迫状をもらったくだり、榎木津が父を疎ましく思っている件なども、舞台には無かった。
けれど、それでも理解できるように舞台は作られていた。

これってめっちゃすごくて、要するに物語という木の太い幹の部分はしっかりと残して、枝葉の部分のみ丁寧によりわけている。よっぽど原作をしっかりと読み込んだのかよ。どんだけすげえんだよ。

匣の中の娘後編での地の文も、かなりカットされている。
というか、久保確保のために頑張る青木くんのシーン良いな……すごい好きだな……。とはいえ、舞台においてこれを全部組み込むのは難しいだろう。
それ故に、必要な場所のみにカットしてる。
私は舞台→原作だから、こうなってたんだ!?という驚きも多いし、あの舞台という匣の奥にしまわれていたものが見られたようですごく面白かった。

いや……これひたすらおもしれえ……。
覚えているシーンばかりということは、つまり印象的なシーンはほぼきっちりと残してあるということになる。これだけの分量から必要な箇所のみ抽出ってどんだけすごいんだ。

 

例えば、久保が入れられていた匣は、おそらく父である兵衛の作ったものだろう。それは物語において、余韻やぞっとする感覚には作用するけれど、なくても成り立つ部分だ。
でも、出来ることなら残したいって思う部分じゃないのかな。私は原作を読んでてここの箇所ぞわっとした。
そこを削ってしまうのめちゃめちゃすごい。超すごい。そこを削ろうと思って、そして削ってもまだぞっとする余韻を作り出しているのがすごい。

そして、舞台で明確に描かれた境界。
たしかにこれは語りだけより映像としてお出しされたほうがわかるけれども……それを舞台ではこう出してくるのか……となった。
先日のニコ生配信でも魍魎を見た。画面だからこそわかりやすく、あの境界に触れる関口くんや踏み越える雨宮、境界の内側にいて外で死んだ父を見た陽子を見た。いや……これ演出もすごいでしょ……。

 

ところで、映画は時間軸をもう少しずらしていたり、加菜子と頼子の逃避行の最中に学校に入り込んで凧を手に入れようとしたり、ラストで突然春になったり、久保が榎木津の部下だったりしてたけどアレなんだったんだろう。あんまりあの辺りが意味がわからなかった。てっきり舞台から削られた部分で原作には存在するのかと思ってたんだけど全然そんなことはなかったな……。

事前に聞いていたキャラの印象と舞台での印象と、実際読んでの差

これは面白かった。

事前に、というか舞台を見終わった直後に散々聞かされていた「舞台の関口くんは鬱が1/10」「舞台の榎木津は躁が1/10」、これ原作読んだら全然そんなことはなかった。というか舞台の印象通りだった。

関口くんは時々テンションが激落ちするし鬱だったと語るけれど、魍魎の匣だけではそこまで鬱の印象はない。
また、榎木津も全然。割とテンション高めの普通の人だなという印象だった。

このテンションの差に関しては、フォロワーさんから「関口くんの鬱は姑獲鳥で出るので読者はその時点で鬱なのだという印象が植え付けられるし、榎木津のハイテンションはもっと後の巻で爆発する」と教えてもらった。
そこまでたどり着くのがひたすら楽しみ。

舞台は早く円盤化してください

配信誠に有難うございます! 映像があるなら! 早く円盤にしてください!!!!!!!!

今まで京極堂シリーズって分厚いし……と避けてきたのだが、こんな予想外の場所から読むきっかけが出来て良かった。
中学時代に図書館で借りて持って帰ろうとしたらあまりの分厚さでカバンに入らず諦めたあの日から云年、まさか手にする日が来るとは思わなかった。
外見に似合わず(?)するする読めて、面白い。キャラも鮮やかで読んでて楽しい。本当に面白い本を読めた。