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舞台・魍魎の匣 06/23マチネ観劇(原作未読者)

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キャスト

中禅寺秋彦役:橘 ケンチ

木場修太郎役:内田朝陽
関口 巽役:高橋良輔
榎木津礼二郎役:北園 涼
鳥口守彦役:高橋健介

楠本君枝役:坂井香奈美
久保竣公役:吉川純広
楠本頼子役:平川結月
柚木加菜子役:井上音生
中禅寺敦子役:加藤里保菜

雨宮典匡役:田口 涼
須崎太郎役:倉沢 学
増岡則之役:津田幹土
青木文蔵役:船木政秀
福本郁雄役:小林賢祐
里村絋市役:中原敏宏
寺田サト役:新原ミナミ
寺田兵衛役:花王おさむ

柚木陽子役:紫吹 淳
美馬坂幸四郎役:西岡德馬

見てきた人

  • 原作未読
  • 原作について知ってる知識は「京極堂の外見は実質京極夏彦」「京極堂のマジカルステップ」「京極堂の本名は中禅寺秋彦」「榎木津礼二郎のブロマは買うもの」などのほぼTLで流れてくる謎ツイート
  • LDHは好きだけどケンチさん推しではない
  • 友人が複数人行くので見に行こっかなー(別の舞台が前日にあるし)の気分でチケ取り

あらすじつけたかったんだけどネルケプランニングのサイトにあらすじがないのでかけない。あれを自力でまとめるのも無理。

感想

こんな良いところしかない舞台ある!?

原作未読でなに言ってんのという話かもしれないが、見ていてひたすら面白い。

テンポの良い流れ、未読でも物語の流れや解決に必要な部分は過不足なく入れられている脚本、細かに入るものの集中力を切らさない笑い、鮮やかに浮かび上がらせるスポットライト、演技力高いキャスト陣。
どこをとっても良い箇所しかなさすぎて、良い場所を並べようとすると頭からすべてのシーン語らなきゃならないレベル。なんだこのすごい舞台。

 

原作未読でも面白い舞台

舞台化の場合は原作を読むことを前提としているなーという印象を受ける舞台もある。
そこ重要だろ!?と思う設定や、物語に必要な話を原作読んでるだろでふわっとさせる舞台もある。

魍魎の匣は、原作未読で見ても後半の解決編に必要な箇所はしっかりと理解できるように描かれていて、原作知識が上記のような非常に曖昧な状態でも非常に面白かった。
頼子に関して、加奈子周り、雨宮、木場の想いなどわかりやすく、かなりのハイスピードで進む話だがしっかりと内容が頭に入ってくる。そのくせラストでうわー!?とびっくりさせるところまでうますぎる。

原作知らないからなーで迷ってる人は何も躊躇しなくても大丈夫だと思う。冒頭に書いた通りの原作知識でものすごく楽しめた。

 

これは完全に余談なのだけれども、舞台化の場合は『原作を○○まで読んでおけ』『原作を○○までプレイしておけ』という意見がツイッターなどで散見される。でもそれって個人的には何か違うと思うんだよな。

例えばコミカライズやアニメ化、ノベライズなどを楽しむときに、原作の○○まで見ておけ!と言われるか?と考えれば、そんなん言われないほうが多いと思う。映画のノベライズを読むときに映画を見ていることを前提とするか?という話。
なのに舞台化の場合は上記のようなツイートや意見を見るというの、何か違うと個人的には思っている。そんなに舞台化を信じてないの?脚本家の腕を信用できないの?エンタメ化を信頼できないの?とすら思う。
それもあって、あまり原作を事前に読んでから/見てからというのはしていない。今回は時間と体力がなかったのもあるんだけれど。

また、原作を知っているとその差異にむずむずするんじゃないのかな……。どうなんだろう……。好きな作品のアニメ化はそういうことがあるので、その差異を埋めてほしくて『原作を見て!』『原作を読んで!』になるのかもしれない。

morelovelike.hateblo.jp

そのほうが楽しめるという意見も正しくはあるんだけれど、それが無くても楽しめる舞台って良いんじゃないのかな。
そして更に、原作既読組も未読組も等しく楽しめる舞台が良いんじゃないのかな、という以上個人的な余談。

そして、その意味では未読組の私も、既読組の友人たちも楽しんでいて、魍魎の匣は本当に素晴らしい舞台だった。

脚本と演出

以下ネタバレあり。

演出パなくない!? 一番好きなところは頼子の腕が匣に入り手首が折れるところ。あの演出美しかった。
木場と京極堂が背中合わせで話を聞いているシーンも、ある意味舞台ならでは。緊張感がありながら絵面として好きすぎる、面白い。
久保に殺された少女たちが赤いドレスを来て現れるのも本当に…。こういった細かな演出がひたすら面白いし美しい。
ここ以外もどのシーンも演出がとにかく美しく面白かった。
ライトアップの使い方すごいよね……美しい。

そして演出といえば舞台の端に作られた段差。
序盤は足元はよく見えずなにがあるのかなー加奈子が端のほうで手を広げて平均台を渡るように歩くのは何もない箇所をやってるのかなーと思ってた。
けれど、研究所で京極堂がどんと音を立たシーンで明るくなり、やっとそこに段差があるのに気付いた。
段差? 危ないなと眺めていたけど最後の最後軽やかに雨宮さんが歩くシーンであれがあちらとこちらの境目だとわかりぞっとした。

そして「3階建ての建物」である研究所が人間の内臓になる、という舞台を「3階建ての会場」である銀河劇場、またアイアシアター神戸で行うヤバさ。観客である私達も内臓なのだということに気が付きぞっとする感覚。もう舞台設定までうますぎか!?
このぞっとする感覚を楽しむために、見てない人もぜひとも劇場で見てほしい。チケットすごい勢いで立ち見から売り切れて行ってるけど。

ここまでの情報を、原作未読でうわーーーーーって目の前で流されている状況でも理解出来るようにしているのすごいな。めちゃくちゃすごいな。

 

物語も、分厚さで有名な京極堂シリーズ(のうちフォロワーたちから「薄いよ!」「薄いほうだよ!」と言われたもののどう見ても分厚い)を2時間弱に収めきっているのがすごい。すごいやばい。
私は舞台を見ながら時計を見る癖がある。こんな内容なんだからもう30分ぐらい経っただろ?→まだ開始10分ですにびっくりしてしまった……。情報量がひたすら多く、一瞬でも目を離せない。すごい高速で物語は展開していく。

だからといって理解できない速度ではない。ぎりぎり見ながら理解が出来て面白いと思える速度で制御されている。そして、ハイテンポなおかげで物語がだれる暇がなくどんどんと前に進んでいく。
見ている最中に余計な間で集中力が切れてしまいやすいのでそれも本当に良かった……。物語に強制的に引きずり込まれていく。

冒頭の少女による少女の殺人。首筋に見えたにきびが原因だったという理由も、事前に頼子が加奈子に対して時間の止まった美、完全性のようなものを見ていたということを出していたためにするりと納得ができる。
時計を見ていて気付いたのだけれど、解決編開始が上演開始からほぼちょうど1時間。1時間経ったあたりではすでにおはこ様の謎をときに向かう。体感ではすでに情報量の多さに1時間45分。待ってまだ全然舞台は終わらない。情報量めっちゃ多い。京極堂がなんでそんな地方の祝詞か何かの風習知ってるの!?と思うが、それについて観客はちゃんと冒頭で鳥口の出身地を当てる京極堂の手腕でそれぐらいのこと知識として知っているだろうと理解させられている。
終盤、美作研究所へ到達したころには体感時間はとうに2時間を越している。でもまだ1時間半。まじかよ。嘘だろ。テンポは速い。しかし必要な情報はちゃんと観劇している人間にも与えられている。京極堂が従軍時代にちらりとみただけの手紙の話も出してきたが、それも事前に榎木津によって京極堂は記憶力がめちゃくちゃ良いと教えられているから違和感をいだくこともない。すごい。

 

ダレる暇もなくスピーディ、それでいて必要な情報は余すこと無く説明しこちら側へと与えてくる。そんでもって物語は面白い。なにこの脚本。どんだけすごいの。それでいてちょっとした笑いも含まれている。やばいめちゃくちゃすごい。面白い。
割と本気で、ここまで完全に良いところしかない舞台なんて年に1回見れたら嬉しい方だとすら思った。

キャラクター・キャスト

とにかく全員が!めちゃくちゃすごい!
紫吹淳さんと西岡徳馬さんを中心としてとにかくキャスト陣の演技力がすごい。お名前挙げたお二人はすごすぎて当然なんだけど、他のキャストさんもめちゃくちゃにすごい!!

 

京極堂橘ケンチさんは、ラストの教授との感情のぶつけ合いで一歩も引かないとこ本当に迫力がすごい。いやあんなん強いわ……。圧が強いほうが勝つみたいな雰囲気に最後なってたけどこりゃ勝つ。
舞台ってうまく乗り切れないと終盤の大声の出し合いでフーンという気分になっちゃうんだけどちゃんと感情を連れて行ってくれた。
こちらとあちらの境界である段差を描き出すとこの迫力!すごかった!!!!
事前にツイッターでとても回ってきていたマジカルステップ、なるほどこれが……。
存在が美~~~~~~~!!!!!となる瞬間が何度もあって本当に美しかった。おはこさまのところで指の入った鉄の箱に手を置くシーンがライティング含めて本当に美しかった。

榎木津礼二郎股下5メートルあるでしょ。
衣装で腰の位置を高く見せているのもあるとはいえ、股下5メートルあるでしょ。なんだあれ。めちゃくちゃ脚長い。
茶目っ気のあるとこも見せつつも、終盤の美作研究所でのシーンでは転がる他のキャラたちと違い立っているあたりでこいつも常人ではないのだなと見せつけられた。
既読組からはテンションがいつもの十分の一とか会話が出来るとかすごい言われようしていたけど原作どんなんなんだよ読むよ原作。

頼子の豹変っぷりがものすごい……。
髪を解くまえの加奈子といたときの陰キャっぽい雰囲気から母親といるときの内弁慶みのある強気な少女、髪を解いてからの超強気で人を寄せ付けない空気まで全てがすごかった。演技うますぎない!? そこに女学生がいた。
もーーーーめっっっちゃ可愛くてヤバこの子すごい好き……となってからパンフ見たらこれ演技初? 嘘でしょ? こんな……こんな迫力合って圧のある演技する子が……嘘でしょ……?

雨宮はキャラクターとしてめちゃくちゃすごいし面白いし強いな。
冒頭の久保と話しているのが雨宮なの全然覚えてなかったのだけれど、最後まで見てうわーーー!?となった。
些細な描写からずっと加奈子のことを妹のように家族のように大事にしてるのがわかったからこそ、彼が事件を起こしたのも理解してしまってあーーーーーー……もう……。指を切り落とすということを全力で拒絶するのも彼女のことが家族のようだったからで。加奈子を活かすためならばしょうがないと思えた陽子と、まだ若い雨宮の違いというか、本当にじわじわとその部分が後から響いた。
ひょいと境界を飛び越えて黒く干からびた箱の中身とともにあちら側へ言ってしまった彼はそれでも一番幸せなんだろうな……あーもうめちゃくちゃ好き……。

余談

見る前にマナーが云々的なん回ってきたけど、自分が行った限りそんなに悪い人は見当たらなかった。というか私が今まで見たこれはやべえなと思う舞台あれこれって

  • 前アナでビニール袋を鳴らすなと言われる(つまり事前にそれで何かごたついた)
  • 演っている最中隣の人と小声でお喋りし続ける人たち
  • 終演後に腰の下に置いてた機械っぽいのの電源を切る人
  • 開演前にフラッシュたいてステージ上を撮影する人
  • 上下左右にずっと揺れている人

あたりなのでこれよりマシならマシかなという感想。今回は前方列だったこともありあまり客席が視界に入らなかったのが良かったのかも。上下左右に揺れる人はほんとうにいやだ。
前のめりとか途中入場は前にフランケンシュタインでもスリルミーでも前日に見たR&Jでもやられたので個人の問題だしね。ええ……本当にそれで良いシーン潰されるのなんとかしてくれ……。

 

ビジュアル写真より舞台の衣装のほうが絶対に良い!!!!ブロマ!!!!お願い!!!!!と思っていたら

■ローソンプリント…L判300円(税込)
舞台ブロマイドを7月12日(金)発売予定
舞台「魍魎の匣」 | Nelke Planning / ネルケプランニング

とのことで、これは期待していいんですよね!?

 

ところでこれまだライビュも配信も円盤もなにも聞こえてこないんだけど無いの?そんなわけないよね?冗談だよね?こんな面白い舞台を劇場に入れない人に見せれないなんて嘘だよね?
家族が興味はあるとは言ってくれたものの、流石にチケ代工面して旅費1~2万出してやるとは言えないし1日ないし2日予定を今すぐ潰してくれとも言いづらいので頼むからライビュをしてほしい……。舞台を気軽に見る切欠になってほしい。

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)