彼女は三つほど次元が違う「オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫) 」桐山 なると

あらすじ

天才のオミサワさんは、三つほど次元が違う人だった――。

大学二年の雪斗には気になる女性がいた。芸術科の小海澤有紗。無表情、無感情で人と関わろうとせず、そこかしこに絵を書き散らすも、その落書きが数百万の価値を生む百年に一度の天才。人とのコミュニケーションが断絶してしまっているそんな小海澤さんが気になり、なんとかお友達にこぎつけた雪斗。しかし天才との変わった交流を楽しむはずが、彼女の重大な秘密を共有することになり――。次元が違う彼女とのもどかしくピュアなキャンパスラブストーリー。

「次元の違う」彼女とのラブストーリー

これ絶対ネタバレなしで読んでほしい!!! ネタバレなしで読んで殴られてほしい!!!!

 

主人公はとある日偶然会話をしたことにより、同じ大学に通う天才画家の小海澤さんと少しずつ交流を持つようになる。
しかし彼女はコミュ障の小海澤、略してコミサワと周囲からあだ名されるほどにコミュ障。というかこちらの話を聞いているかわからない。そんな彼女にハーブティーを差し入れすることで少しずつ好感度を持ってもらい、徐々に紙切れの手紙などで交流をするようになる主人公。

このあたりの初々しさというか、彼女のことを知りたい、彼女と少しでも近づけると嬉しい! というあたりが読んでてひたすら可愛い!
ピュアっピュアな恋愛。何か少しでもしれたらそれだけで嬉しいのだという雰囲気が読んでてもあーーーーもう可愛い! くっつけ! とにやにやしてしまう。
主人公の背を押している友人カップルも可愛いなー! お調子者の彼氏と関西弁でノリのいい彼女、二人に夫婦漫才みたいなノリで背を押されりゃそりゃ頑張るしか無い。というか、この二人がいたから物語は相当明るくなる。

 

ノリが変わってきたのは中盤。
読んでててっきりふわっとしたラブピュア恋愛とかいう割とありがちなところに着地するのかなーと思いきや、突如主人公が周囲の言葉が聞き取れなくなる。
周囲の人間の言葉ががんがんじーという謎の言葉やりゅりゅりゅりゅ……という機械音じみた音のみとなり、まともな言語として聞き取れない。

完全に予想外だった。いや予想外でしょ。
前半の雰囲気からライトノベルというかライト文芸にあるようなライトな恋愛もの来ると思ってたら突如SFかファンタジー来たら誰でもびっくりするでしょ。

次元が違うといえば普通は自分よりめっちゃすごいとかめっちゃうまいとかそういうのを連想する。
でも小海澤さんの次元が違うはそういうわけじゃない。リアルに『次元が違う』。
彼女の見ている世界は他の人たちとは全く違うし字も違う、何もかも違う中で生きてる。うわーーーーこの流れ最高でしょ!?

そこからの怒涛の展開。自分のせいだ、だから離れようと言う小海澤さん、彼女と毎日会うのをやめたことにより戻ってくる日常、まともに聞こえだす言葉、そして――週に二回というセーフラインで彼女に会いに来るようになる主人公。なんでだよ(CV:小海澤さん)。
いやほんとなんでだよ。強いな。お前本当に大好きだろ。ファンとかいうレベルじゃないから、もうそこのとこ確信したほうがいいから、はっきり告げた法が良いからと読みながら突っ込んでしまった。めちゃくちゃ好きでしょ。

 

ルールを決めて、彼女の次元に到達しないようにうまいこと距離を取りながらの交流がすごく可愛い。
どうしようもないもどかしさ、彼女とあまりに触れ合ってしまうと他人の言葉が聞こえなくなるし、なおかつ彼女が一番悲しむ。
だからこそ距離をとって、けれども離れてしまわないように……という距離感がめちゃめちゃにじれったくて切なくて可愛い。

ラストのラスト、挿絵で、やっと彼女が『絵を飾られたのをとても嫌がっていて』『皆の前に出されたのを泣いて嫌がって』『見ないでと繰り返し』ていたか、そして『主人公がなにもわからないはずなのになんとなく良いと思ってしまったか』が全部つながって、そういうことかーーーーー! となった。最高。
もう二人でめちゃくちゃに幸せになってください。本当に良かった。

 

ちょっと前に読んだあんたなんかと付き合えるわけ無いじゃん! もそうだったんだけど、今までの物語の中身を全部ひっくり返すようなでかいどんでん返しがどこかに用意されてる話は面白い。
それにしてもめっちゃ面白かった……。読後感も最高に良いし、彼女は確かに次元が違った。

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