恋と愛の物語「異世界拷問姫5 (MF文庫J)」綾里 けいし

あらすじ

もう一人の『拷問姫』ジャンヌ・ド・レに誘われ、地下墓所で世界の真実に直面した櫂人たちは、彼女が語る救世に協力することを決める。十四の悲劇で始まり終結を迎えるはずだった物語はここにきて残酷さを増し、全ての者に苛烈な選択を迫り出す―。
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る今最も熱いダークファンタジー第五弾。悲劇を糧に進み続ける世界の中で、櫂人はエリザベートはヒナはジャンヌはイザベラは―そして肉屋はいかなる道を選び取るのか。

世界の始まりと終わりと、恋と憧れの物語

イザベラに対しての感情を「初恋のようなもの」としてから「冗談です」とすぐにジャンヌは言っていたけれど、カイトが地の文で語った通りそれは間違いなく初恋だったのだろう。
あのジャンヌが誰かに対して感情を寄せて、なおかつ守りたい助けたいとするならば、それは初恋以外にありえない。などと思わされた5巻だった。

イザベラはもう……と思わせてからのすでに人としての部分をなくしたイザベラが現れるのはエグすぎて。ジャンヌが初恋の人だと語ったあとのためになおさらきつかった。
というか本当に『どうしたらキャラクターが絶望を感じるか』の処理があまりにもうまい。
今まで従人を殺しながら、これが自分の大事な人ならという考えを振り払ったカイトだからこそ、ここでその問を突きつけられるのはしんどい。 そして、イザベラに対して恋を抱いたジャンヌだからこそ、彼女を殺すという選択肢を取るのは更にきつかったろう――と思わせて武器を手放せば救わせてやるという、あまりにも物語としてスタンダードでありながらも絶望的な二択をつきつけてくるのが流石すぎた。

ラストシーンの皇帝・ヒナ・ヴラドを従え王を名乗るカイトが格好いい。それと同時に、ここにエリザベートがいないことが悲しすぎる。

ところで、レギュラーにこれだけ女が多いしエリザベートなんて大事な女なんて言い切ってるのにここまで恋愛関係がごちゃごちゃしてないのはすごい。ハーレムができるぐらいに女がいるのに、嫁はヒナであり、エリザベートは憧れの人。そしてイザベラはジャンヌの片思い相手なのでというなんともすごい環境だった。

本文を読み終えてから見る表紙がやばいな。羽に覆われ悪魔に取り込まれかけたエリザベートだというの、最後に見返さないと気付かなかった。