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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

屈折する星屑 (ハヤカワ文庫JA)江波 光則

太陽系のどこかに浮かぶ廃棄予定の円柱型コロニーには、いまだ一定数の住人が暮らしていた。ヘイウッドとキャットもここで生まれ育ち、唯一の愉しみ――ホバーバイクで人工太陽に衝突寸前まで接近する度胸試し――を繰り返している。将来の展望も生産性もないまま、流されて生きる鬱屈した毎日。だが火星から戦争を嫌って亡命してきた元軍人ジャクリーンとの出会いから、ヘイウッドはどう生きていくのかを模索し始める。

頭のぶっ壊れた連中のチキンレースの物語、かと思ったら親殺しの話、かと思ったらマネーロンダリングしつつチキンレースの物語。

江波光則の書く物語は相変わらず中盤から終盤にかけての勢いが凄く好き。今回も序盤から中盤にかけてのチキンレース部分はさほど興味を惹かれなかったけれど、終盤の柱が突っ込んできたあたりからはわくわくしながら読めた。
種明かしとしても途中でちょこちょこともしかして? と思う部分が含ませられていたからこそのマネーロンダリングとしての落ちは最高。

最初はジャクリーンを倒す擬似的親殺しの話なのか? と思いながら読んでいた。パニッシュメントというよりもくげよしゆきのセルロイドヘヴンのようなあのタイプかと。てっきり最終的にジャクリーンを倒そうとするけれどもうまくいかなかった、で終わるのかなと思っていたらそんなことはなく、というかそんな話ではなくもっと壮大な規模の物語をぶっこんできた。
壮大な規模の、星全体が揺らぐレベルの物語だと言うのに、最終的にはチキンレース。どっちが先にハンドルを切るか。精神病棟から抜け出せる一歩手前で再度自分を精神病棟に投げ込むお話だった。

最後のジャクリーンとの戦いの前で、主人公がキャットの刺青を自分の腕に刻むのがすごく好き。キャットと主人公の関係性はただの恋愛と一言で表しきれるものではなく相棒みたいなものでもあったというのを序盤の二人乗りのシーンなどで表されていたのもあって、あの部分でぞくっと来てしまった。
これでだったらいくら強いジャクリーンだって倒せるだろうと思ってからのあれこれそれだけれども。もはや相手人間じゃないじゃねーか。

面白かったは面白かったんだけど、なんとなくガガガの頃みたいな突き抜けたものはなくなっているのが残念というかなんというか。もっとぶっちぎって頭おかしいぐらいの勢いでのがまた読みたいと思う。

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