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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

クラーク巴里探偵録 (幻冬舎文庫)三木 笙子

★★★★☆ 読書 読書-文芸書

ヨーロッパを巡業中の曲芸一座で、敏腕の番頭として名高い孝介と料理上手の新入り・晴彦。裕福な贔屓客から頼まれ、ストーカー退治や盗難事件の解決など厄介事の始末に奔走する日々を送っていた。華やかなパリで生きる人々の心の謎を解き明かすうちに、二人は危険な計画に巻きこまれていく。人の温もりと儚さがラストを彩る連作短編ミステリ。

 ヨーロッパ、ミステリー。

 いつも思うんだけど、三木笙子作品って絶対一部の層にめちゃくちゃ受けそうだと思う。
 この本もちょっとツンケンした男とそれを宥める男のペアで、そういうのが好きな人はたまらないんじゃないのかな。帝都探偵絵図シリーズもそういったたぐいの本だけれど、こちらは探偵とワトソンが逆の立ち位置。
 また、帝都探偵絵図だと本編開始時で既に礼が高広に懐いているけれど、今作の主人公晴彦と、同居人である孝介は物語開始位置ではあまり信頼関係がない。信頼関係がない二人が依頼された事件を解決していくうちに、また一緒に暮らしていく内に、次第に相手に対して信頼を持っていく──というタイプの話が好きな人は絶対読んだほうがいい。

 物語の形式としては連作短編。曲芸一座の番頭と新入りが、客の持ち込む厄介な事件を解決しようとする。
 しかし、主人公である晴彦は何かしら裏がありそうなことが序盤から示唆されている。絶対に何か裏があるのになかなか見えないという感じが焦れったくてすごく良い。
 晴彦が孝介を信頼していくのにつれて、孝介本人の態度はそこまで変わらないものの、孝介の親代わりの立場の人から、あいつがお前に懐いてきているという話をされたりもする。それでまた晴彦が勝手に何か罪悪感を感じているので、晴彦の持つ隠し事が孝介関連のものでは? と焦れったく情報開示がされていく。なんかこういうのすごく良い。

 持ち込まれる個々の事件がどうなるかという部分に加えて、孝介と晴彦の関係性、晴彦の持つ謎など絡み合って、しかしまあ見事と言いたくなるぐらいに綺麗に物語がまとまって終わらせられてしまった。三木笙子作品はそういう後味の良さが良いと改めて思う。最終的な物語における優しさがすごく強い。

 完璧に余談だけれども、ちょっと前に三木笙子さんのブログを見たらちょろっと特撮ニチアサ系の話題があって笑ってしまった。

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