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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

壊滅騎士団と捕らわれの乙女 (一迅社文庫アイリス)伊月 十和

★★★★☆ 読書 読書-ライトノベル

田舎貴族の娘フィーリアは、姉を捜しに王都へ来た途端に牢屋へ!? その窮地を救ってくれたのは、黒十字騎士団の団長で幼馴染みのヴィンセント王子だった。意地悪な彼に助けられても嬉しくないと思っていたけれど、姉捜しを手伝ってくれるヴィンセントを見直すことに。ところがある日、彼の異常な本性を知ってしまい――。私が誘拐されたからって、犯人全員始末してやるってどういうこと!? 一途すぎる王子の大迷惑な溺愛ラブコメディ。

KindleUnlimited対象。

ブコメ、ギャグ、ファンタジー、ツンデレ
田舎娘が幼馴染のところに来たら、実は溺愛されてたことを知ってしまう物語。

ギャグ強めのラブコメ。ラブコメという言葉に間違いはなくて、ラブもある、コメディでもある、しかしコメディ強め、そしてそれに恋愛が絡んでいるというタイプ。このタイプのギャグに耐え切れない人は読むのが辛いかもしれないというぐらいにギャグで押してくる。わたしはとても好きなタイプなので、読みながらずっとげらげら笑っていた。
ヒロインが強くて元気で何か不幸があっても全力で殴り飛ばせそうなタイプなの、大好物です。

 果たして愛するものをドブネズミ呼ばわりするものだろうか。一度じっくり腰を据えて問い詰めてみたい。
「ええぇ? 違うの? てっきり熱烈に愛し合う恋人同士だと思ったのに」
「今のところ、単なる幼馴染みという線が濃厚です」
「そうなの? あの心臓に毛が生えているんじゃないかってくらいふてぶてしくて、性格がひん曲がって絡まって二度とほどけないんじゃないかっていう第三王子にも、とうとう意中の人が現れたのかと、王宮晩餐会での話のタネにしようってワクワクしていたのに!」
「ワクワクしないでください!」

愛するものをドブネズミ呼ばわりするわモブからはものすごい言われようだわのヒーロー、ということがたった数行でわかる。すごい。

愛する相手をドブネズミ呼ばわりするヒーローがツンデレではないわけがない。相手役はちょっととてつもないぐらいのツンデレ。読んでいてこれをツンデレというカテゴリに放り込んで良いのか不安になるぐらいのツンデレツンデレというかいじわる。
過去にはカエル嫌いのヒロインの鼻先にカエルを押し付けたり、遊び場にしている涸れ井戸を埋めたりという様々ないじわるをこなしているため、ヒロインにはものすごーく警戒されているし、何か親切をしてみても絶対に裏がある! と思われるぐらいのダメなかんじのツンデレ。というかツンデレってなんだかんだでわかりやすく優しいところを見せるものだと思ってたのだけれど、この男の場合、主人公が危険にあったら主人公を確保後危険に合わせた連中を火炙りで全員殺す勢いなので優しさはほとんどなかった。大丈夫なのかこれで。
ヒーローとあまり仲の良くない相手に主人公がとっつかまったシーンでは、ヒロインが「早く私を逃さないと本当に大変なことになる!」と騒ぎ、読者としても早く逃がしておかないとまじでやばい! なんとかしたほうが良い! と思わされた。こんなに不安になるヒロイン捕獲シーンは初めてだ。

この小説はもう一箇所特徴があって、それはヒロインがまったくもってageられないこと。
普通少女小説のヒロインといえば、本人無自覚だけれどもぱっと目を引く可愛さがあるだとか、本人無自覚だけれども知らないうちにいろんな人に憧れられているだとかあったものの、これはそれが全く無い。周囲の人間からも「別に美人ではない」「誰もさらおうとは思わない」ぐらいのことを次々と言われている。大丈夫かこれ、本当に少女小説か。
また、ちょっとめずらしい部分でいえば、主人公が話の中盤程度で相手役の恋愛感情に気付くというのも珍しい。たいていそういうのってかなり終盤の告白シーンで気付くものなのだけれど、この話では中盤だった。しかし気付いたからといって主人公の反応はさほど変わるわけもなく、むしろ惚れてるのにあの態度されてるの……? と相手の人間性に対して疑問を持つあたりが最高に笑えた。

テンポも良いし面白い、まだヒロインが相手役に惚れてないので一体何がどうなって絆されてしまうのかが気になるので、ぜひとも続きを読みたい話だった。

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