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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

俺より強いあの娘を殴りに行く (ファミ通文庫)本宮 あきら

『君、格ゲー上手いね』とあの娘が言った。
 
対戦格闘ゲームのブームも今は昔。しかし街のゲームセンターの片隅で、磨きぬいた技術を競い合う者たちがいた。
お金にもならない、誉められることもない。
それでも闘い続ける格闘ゲーマー。
一昔前の名作『ロード・オブ・ファイター』にハマっている浩介もそんな一人。
ある日、いきつけの店で腕を磨いていると乱入者に五連敗!
しかも相手はその使用キャラ『いずな』にそっくりな少女で――。
モニター越しに殴り合って伝えるボーイ・ミーツ・ガール。

青春、格ゲー、恋愛。
アーケード格ゲーマーの高校生の恋愛模様の物語。

うわーこれは熱いしキラキラしてる。やばいぐらい青春してる。青春恋愛モノを読みたい人にはすごくおすすめするやつだ。
わたしは基本的に『題材になっているものを知ってて面白いものはまあ普通に面白い、でも知らなくても面白いと思えて知ってたらなおさら面白いってやつはマジ面白い』って思っている。この話は後者だった。わたしは格ゲー全然知らなくて、やったことのあるのがはるか昔に出たプレイステーションセーラームーンの格ゲー(しかもコマンド打ち込めないので殴るだけ)というレベルなんだけど、そんなわたしが読んでも面白い。
それってきっと、この話がゲームばかりではなく、「何かを好きな人」全体にたいしての物語であることと、ゲーム以外の恋愛面、心情面がかなりしっかり描かれていて、しかもそれがすごく萌えるものであることによると思うんだけど。

何が言いたいって、格ゲー知らなくとも、いいからちょっと読んでみて、ということだ。

 

主人公は格ゲー大好き高校生。あまり人気のない格ゲーをよくやっている。ある日飛び込んできた乱入者は、忍者キャラ『いずな』。そのキャラと使い手に主人公はあっという間にボコボコにされてしまう。同じゲームが好きということで意気投合したプレイヤーの少女と主人公。次に会えるとしたらいつになるかなと思いきや、彼女は主人公の学校に転校してくる。

そこそこベタな設定に見えるけれども、もう序盤で二人でゲームするあたりから文章のキラキラっぷりがとにかくすごい。ちょっとマイナーめなこのゲームを、自分以外でもものすごく楽しんでプレイしている人がいる。自分より強いこの相手を倒したい、倒せるぐらいに強くなりたいという青春的な熱さ。相手がものすごい可愛い子であろうとも、それ関係なしに、強い相手に勝ちたいという思いのほうが強いっていうオタク的なといえばいいのか、その気合と感覚。超熱いしキラキラしてる。すっごい青春。
学校ではお決まりだけれども主人公の隣の席になった彼女。美人な外見から他の子に囲まれたりもする。でも主人公と一緒にいて、格ゲーのリプレイ動画を見たりゲームについて話したりする。熱い。すごく熱いし萌える。男女である前に同じものを愛するゲーマーなのだということで、他の全部すっ飛ばして仲良くする二人がすごく可愛い。

 

しかしその二人の仲の良さも、途中で主人公の発した一言により亀裂が入る。彼女が最も言われたくない一言を言ってしまい、徹底的に避けられる主人公。カップルかと思われていたのにすれ違う二人。どうしたらいいのかと考えた結果、主人公は強くなることを選ぶ。「俺より強いあの娘を殴りに行く」、それが自分の誠意の表し方だと信じて 。

このスレ違いあたりの話がほんっと良い。ヒロインが他の男といるのを見て嫉妬するけれども自分はそういう立場じゃないだろうと思ってしまう主人公や、他の男に告白されて本当にいいのかと思ってしまうヒロイン。互いに一言も好きだなんて言ってない、両片思いの状態だからこそのじれるスレ違いが本当に萌える。可愛い。キラキラしすぎて青春で熱い。 そして、彼女に誠意を見せる方法として、ゲームで強くなることを選ぶというの、普通の話だったらどうしてそうなる?! とも思ってしまう部分だけれど、この話ならばそれが最も正しいことであり、このヒロインに対して誠意を見せるならばそれ以外ないと思える。
ちょっと物騒にも見えるタイトル『俺より強いあの娘を殴りに行く』が、この部分で綺麗にキいてくる。すごい好き。こういうふうにタイトルの回収がうまい話って良いよなー。

二人のスレ違いっぷりも、絆の深さも、相手のことを大好きでたまらない感じも、そして格ゲーシーンも、全てにおいてすごく面白い話だった。

 

ところで、二人のゲームについての姿勢が熱くて好き。
ゲームについての大事件がある、今ここで見るかと体をくっつけていう彼女に対して、迷うことなく是と答える主人公がとても良い。

仮に、この『大事件』と『忍の水着姿』片方しか見られないとしたら、迷わず前者を選ぶ。格闘ゲーマーとはそういう人種だ。

つええ。お前つええよ。でもそういうところに惚れたんだろうなと思えるのでしょうがない。
あーほんとキラキラしてて青春で良い話だった……。

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