日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

乙女な王子と魔獣騎士 (電撃文庫) 文庫 柊遊馬

殺すのか。愛するのか。
騎士学校で出会った仇敵の二人は恋を知り、宿命に立ち向かう――!
 
王への復讐。それが全てに勝る、少年ジュダの目指すもの。異端な種族の生き残りであるジュダは、母を処刑した王に近づくため、王都で騎士生をしている。
桜竜の吐息吹く、エイレン騎士学校。力を隠し怠惰な生徒を演じるジュダのクラスに、眉目秀麗な王子ラウディが転入してくる。突然の仇敵の登場に、暗殺の機会を窺うジュダ。だが偶然にも、ジュダは知ってしまう。ラウディの本当の姿は“女の子”だということを……。
真実を知っても態度を変えないジュダに、ラウディは次第に心を寄せるように。そして、ジュダもまた……。殺すのか、愛するのか。決して結ばれてはならない二人の運命が今、動き始める。

ファンタジー、復讐、学園、恋愛。
敵討ちをしたい人外の少年と、王子として生きる王女の話。

これは良い! これはすっごい良い男装モノ。どちらかというと少女小説の雰囲気に近いのかな、主人公を王女のほうにすれば、性別を隠して学校に入る王道の潜入モノになる。しかし、これは主人公を大抵は恋愛相手にもなる秘密を知ってしまった少年のほうにして、なおかつ少年のほうは少女の家族に対して恨みを持っているという設定にされている。これ絶対おもしろいでしょ。面白い。

主人公ジュダは、元々半分人ではない。特殊な種族であった母は、人々の前で断頭台にて処された。そのため、母の敵討ちをするために、昼間は騎士生をしつつ、夜間は時折仮面をかぶって顔を隠し、母の死に関する人を殺している。そんな彼の通う騎士学校へと転校してきたのは、ジュダが殺すべき相手である王の息子である、王子のラウディ。イケメン王子ラウディだが、実は少女であったということをジュダは偶然知ってしまう。
という感じから始まる物語。ある意味ラノベ主人公らしいというか、飄々としていてあまり周囲に対して関心がなく、微妙に皮肉っぽい主人公の性格が、今まで生きてた環境が大変だったんだなーと思わせる。とはいえ、ある程度構ってくる相手にはそこそこ対応しているあたり、本当に性格が悪いわけではないけれど。
ラウディの秘密バレのシーンは笑ったw ラウディのほうは自分の秘密がバレたのだろうとおもって、だから黙っててくれと言いたかったのだけれども、実はジュダはまったく気付いておらずバラし損という残念な状況。なにそれ可愛い。

知ってもジュダは態度を変えない、というか微妙に女子扱いはし始める。二人して出歩いたときにちょっとデートっぽく食い物を買ってやったり、彼女がイベント事で女装した時に意識して「お姫様」と呼んでみたり。そういったジュダの態度に、次第にラウディはこころ寄せるようになっていくし、ラウディのなんとなく可愛いところや頑張ってるところ、突っかかってきたりする場所に、ジュダも友情のようなものを感じだしていく。
このくだりが本当に可愛くて。特にイベントでラウディが女装するシーンがすごく可愛い。
ラウディはできれば女子の格好をごくたまにで良いからしたいと思っている、それに気付いて半ば無理矢理彼女に女装(というのもアレだけれども)させ、指名されたからだけれどもエスコートするジュダが良い。その時に彼女がそう呼ばれたがっていると気付いているのかいないのか、ちゃんと「お姫様」って繰り返し言って、彼女をちゃんとそういうふうに、女子として扱ってるんだよって言ってるのがすごく萌えた。お前は少女小説のヒーローかよ。
ジュダの、扱いは友人ながらもあくまで女子であるというポジションが良いんだろうな。そりゃラウディも徐々に惚れる。

からの、終盤での展開。友人に嫌われたくないという理由も相まって殺せないというのがすごく良かった。面白かった。
王とのやりとり、ラウディがいなければという二人の結論。どれもすごく良かった。

最後の最後で王子を助けたことで英雄扱いされだしたジュダに対するサファリナの駄目な、というか全く通じていないわけではないが全く喜ばれないツンデレ具合、そしてジュダの対応が最高に笑った。

「下衆ね、本当に。だからあなたのことは嫌いなのよ。……でも、きちんと責任をとってくださるなら、差し出してもいいですわ」
「は?」
(中略)
「サファリナ、君、少し頭を冷やそうか。熱でもあるんじゃないかな。嫁入り前の娘が言うセリフではないな。──ん、顔が赤いぞ。今日はもう休んだほうがいいと思うよ。そしてベッドに入って今自分が言ったことをじっくり反芻するといい。話はそれからだ」

ジュダがちゃんと相手が自分にある程度好意を持っていることに気づける性格してるからこそのやりとりというか、つーかサフィリナも今まで自分がさんざんボロクソな対応していた相手に、限界まで上から目線しつつ好きだよ結婚しても良いよって言うのつよい。すごく強いし、いままでうざいと思ってたのにこのシーンで一気に可愛く見えてしまった。悔しい。

そういえば、あらすじで「殺すのか、愛するのか。」ってあるけれども、ジュダは早い内からラウディに対しては殺すという選択肢を放棄してるので、ちょっとあらすじ詐欺だなと思った。友人だから、父とは無関係である、というある意味すごく真面目かつ頭の良い、物語のキャラだとあんまり出さない結論を出している。

物語として面白かったし、ラウディとジュダの今後も気になるので、2巻も早い内に買いたい。これは普段少女小説もいくらか読んでる人のほうが流れとして読みやすいかもしれないし、これを読んで面白いと思った人は、男装モノ少女小説読んでみたら合うかもしれない。

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