日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

インスタント・マギ (NOVEL0)青木潤太朗

_

青年が極めた《科学》、その到達点にあったのは──《魔法》だった。科学者の青年が映像電子ドラッグで脳にストレスを加え、一時的に超能力者になる方法を発明する。彼はそれを即席の魔法《インスタント・マギ》と名付けた。それは古より世界に在った本物の《魔法》を脅かし、危機感を抱いた《魔法使い》たちは彼を巡って戦争を始めてしまい――? これは魔法が終わる物語。いつか科学が全ての魔法を解き明かす。

ファンタジー、青年少女、科学、魔法。
とある科学者の青年の命を守るために、魔法使いの少女が現れる物語。

NOVEL0、実はこれ以外に読んだのが無法の弁護人だったせいで、てっきり非ファンタジー系のちょいおたかめレーベルかと思ってたら、2作目でもろファンタジーのこれにあたって驚いた。がっつりファンタジー系もありの、要するに結構なんでもありレーベルか。
青年と少女の組み合わせが好きな人にはたまらないタイプの話だと思う。青年少女とはいえ、片方は大学生、片方は高校生だからそこまで年齢が離れているわけではないけれども。

電子ドラッグ風味の《インスタント・マギ》なる簡易魔法を創りだした青年のところに、ある日彼の命を狙う魔法使いたちが現れる。しかし、彼を助けたのもまた別の魔法使いの少女。助けてくれた少女は、青年の創りだした魔法が魔法使いらにとって驚異的なものだと告げ、彼を守るために一緒に暮らすと言い出す。
この同居することになった少女・ゼラの押せ押せっぷりがすごく可愛い。普段から主人公に対して好感度の高いのを見せておき、更には学校でこういう人と同棲してます、でき婚も出来るならやっちゃいたいねって話すあたりがとても良い。
ただ、彼女がそれだけ主人公にべたべたしている理由として、結構最初のほうに主人公を取り込みたい組織側から、可愛くて自分に好意を持つ女の子をあてがっておけばこっちに落ちるんじゃない? って思ってるよって明確に明示されているので、もしかしてゼラの好意はそれが理由では? 主人公を取り込むためでは? と思っちゃいながら読むのが微妙に怖い。

物語中盤で、煙の魔法を使う女が出てくる。サディスティックな彼女がでてから物語の悪化が早まる。物語の冒頭で主人公をぶっ殺しかけた連中をたやすく半殺しにし、グロじゃねーか! と言いたくなるような凄惨な状態にする女。そして、彼女に捕まらないように主人公をかばっていたゼラだが、最終的に主人公は煙女に捕まってしまう。
主人公が捕まってからの展開がとても隙。物語が一気に動くし、なにより主人公の科学者っぽさ、自分の求めているものに対して真摯であり、自分の実験の結果を得るために他人に自分の実験結果を伝えることも厭わない。なんだこれめっちゃ良い。こういう科学者キャラが大好きだから読んでて最高にかっこ良かった。音を武器にする男に対して、まだ人間に対して実験したことはないんだけどと前提をつけつつもしっかり相手を人体実験に利用しているあたりとても良い。

これからの終盤の展開は本当に動き方が大きくてすごかった。面白かった。何より、ゼラの告白が最高だった。序盤読んでいるときはなんとなく押せ押せっぷりに裏の力が働いているのではないか? 本当に彼女の意志か? と思っていた好き好きなアレ、全部説明つけてくれて、惚れた理由から全て何もかも描写されるのが最高に良かった。

今後のゼラと主人公がどうなるのかは気になるものの、この巻で美しく終わっているのでこれで良いのかなとも思う。1冊で完成されていて、とてもおもしろい話だった。

この間から積んでるKindle本をあから順番に片付けているのだけれども、読んでも読んでも終わりが見えないし、紙本もなんぼか積んでるので暫く新規購入は控えたい、と思っているところに20%セールはずるい。

広告を非表示にする