読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

乱 矢野 隆

乱

少年時代を独り野生児として育った虎が、ある日村人に捕まってしまう。その窮地を四郎という少年に助けられる。天草四郎と虎の出会いだった。そのころ、島原と天草の切支丹に対する迫害は苛烈を極め、公儀への反抗が企てられつつあった。他方、老中・松平信綱は、三代将軍・家光の治世に不安を抱いていた。江戸に幕府が開かれて三十有余年、天下は徳川家の下に本当に治まっていると言えるのか。信綱の心の中に潜む闇が蠢く。

歴史、島原の乱天草四郎、アクションモノ。
人のために旗頭とされた天草四郎天草四郎に拾われた野生児の虎、幕府の松平信綱、この三人から見た天草・島原の乱の物語。
おそらく天草・島原の乱についてあまり詳しくない人が読んでも理解しやすいやつ。

他者に傀儡とされ利用される天草四郎少年の物語が好きなのでその点では満足だった。下手に信仰心があるせいで、自分が他者に利用されている、旗頭にされている、自分さえいなければこの人達は詐欺行為もうまくできないのだとわかるせいで罪悪感半端ない状態になっている天草四郎
精神性がとても普通の青年+信仰心という感じで、別に魔法も使えなければ水の上も歩けない(でっち上げ詐欺をしている)四郎が、唯一自分を特別視しない相手なために心のなかをある程度さらけ出して話すことが出来る相手として虎が存在する。

自分が生きるため・食っていくためには人を傷つけることを当然と思っていた虎に対して四郎が「人を傷つけてはいけない」と教えこみ、それを受け入れていった虎が、終盤原城籠城戦において人を傷つけて皆に喜ばれているのはなぜか? 良いのか? と矛盾を持ち、それをまっすぐ四郎にぶつけてしまうあたりが読んでてキた。
口では殺すな死なすなと言いながら、敵ならば殺せっていうあたり矛盾はどうしても孕んでしまう。それを四郎は自分でも処理できてないし、だから虎に伝えることも出来ない。他の信じきったキリシタンたちや四郎を信じている人たちは「四郎がいうから」でやれるけれども、最も信じていない四郎こそはどうしようもないっていうのがなんかとってもきっついわ。

気にかかったのは戦闘シーン。とにかくぶつ切りだった。一文が短い+一文ごとに改行されるので、昔一部のラノベが揶揄された下がメモ帳状態だった。実はあんまりこういったタイプの小説を読んだことがないので物珍しさはあった。
けれど、スピード感があるかと言えばそんなことはなくただぶった切られてる感じだし、今どこで何やってるのかよくわからなくて、ただぶつ切りにされている印象しか受けなかった。漫画でたまにある背景少なくして集中線みたいなコマを文章でやりたかったのかな。

そういえば同じ作者の覇王の贄も、本来歴史上にいたかどうかよくわからない人間がメイン枠に出てきている話だった。そういうタイプを書く作者さんなのかな。他のもいくつか読んでみたい。

広告を非表示にする