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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

押し入れの中のダンジョンクラフト ‐幸福で不幸で幸福な兄妹‐ (MF文庫J)からて

★★★★☆ 読書 読書-ライトノベル

押し入れの中のダンジョンクラフト ‐幸福で不幸で幸福な兄妹‐ (MF文庫J)

高校生の僕、椎名透は寮の自室にある押し入れの中にダンジョンができていることに気づく。中はまるでゲームのように広大なダンジョンで、その中心にある大きな樹の下に辿り着くと僕は目を見張った。幼い頃に事故で死に別れ、なぜか死体が消失したはずの妹、あーちゃんが眠っていたからだ。その日から僕とあーちゃんは押し入れの中にできたダンジョンのマスターになり、ダンジョンの成長を見守ることになった。「あーちゃん、ただいま」「おかえり、おにいちゃん」こうして今日も死んだはずの妹に会いに、僕はダンジョンへと向かう。その先に何が待っているのか僕はまだ知らなかった。『マカロン』のからてが描く、幸福で不幸で、けれど幸福な僕たちの物語。

現代、ファンタジー、兄妹、家族。
押入れを開けたらダンジョンがあった。そこには死んだはずの妹がいた。幸福で不幸で優しくて悲しい物語。

基本的に家族の話にはめっちゃ弱い。しかも泣ける話となれば尚更。
もうあらすじで明確に『幼いころに自己で死に別れた妹』との再開となってれば好みかつ泣けないわけがない、ということで。

押入れの中の異世界で妹と一緒にいるうちに、ダンジョンにやってくる武装したやつら。そいつらを倒すために主人公と妹は、ダンジョンマスターの妹の力を使って罠を仕掛けたりもする。総ては、この世界で楽しくふわふわと生きている妹の平和のために。
一緒にいて、一緒に何かしてる兄妹がすごく可愛いんだけれども、あーちゃんは死んだ妹だから明確に別れがあることがわかっているので読んでてきついきついきつい。サブタイトルの『幸福で不幸で幸福な兄妹』、まったくもってその通りだった。
主人公は、妹が死んだことを理解していて、理解した上で押入れの中にしか妹がいないことをわかってそちらの世界に行くことを選んでいる。それって妹が生きていると錯覚してしまうよりきついことなんじゃないのかな。
あーちゃんの創りだす罠が食べ物の味、あーちゃんの描いて創りだしたモンスターたちの武器が食べ物の味がするっていうの、地味に読んでてきつかった。これ、あーちゃんと主人公が一時期ひもじい中いたことからあるのかな。ヘンゼルとグレーテルといい、こういう食べ物が無意識のうちに入り込んでいるのはきっつい。

ただ、物語として、突然やってきた謎の転校生の怪しさというかそのあたりはあまりに先が見えすぎて。絶対こいつなにかやらかす人でしょー!? と思ったら本当にその通りだった。ここはもうちょっと何か一捻りというか違う部分が欲しかったなと思った。でも彼女が、世界を救う、世界樹を滅ぼすという行為は全部自分のエゴであるとわかっているあたりは読んでて痛々しくて好き。

全体的に文体がふわふわ、ほわほわとしていてやわらかくて、妹と一緒にいる時間の話もふわふわとやわらかくて楽しげで、だからこそ先に当然のように見えている妹との別離が苦しい。読んでいて真綿で絞められていくような話だった。
個人的に、読んでる最中に仮面ライダー龍騎の神崎兄妹を思い出していた。あーちゃんが描いたものがモンスター化してるっぽいっていうのと龍騎のミラーモンスターが神崎兄妹の描いた絵だったことからという共通点、あとは妹が既に死んでいるという部分でなんだけれども。龍騎のほうでの相乗効果も相まって泣いてしまった。

この作者さんの他のものも切なくて良いと聞いたので、そちらも是非読みたい。

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