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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

しだれ桜恋心中 松浦千恵美

★★★☆☆ 読書 読書-文芸書

しだれ桜恋心中

ホラー、現代、ファンタジー、ミステリー。姉弟間の近親相姦有り。
とある人形を使って行われる演目と、その人形にまつわる殺人事件と人間関係とドロドロの思いの物語。

読み終わったタイミングで「お前かよ!」と思わずいってしまうような本は面白い本。つまりこの本は面白い本。
入り組んだ人間関係と、人によっては二つぐらいある名前とで人間関係が頭のなかでぐちゃぐちゃになりながら読んでいました。久しぶりに紙に人間関係を整理しながら読んだかも。(まとめた人間関係の流れはこれネタバレ含む

物語は、刑事である横田が殺人事件を捜査するパートと、過去(事件の11ヶ月前)から現在までの流れを、現在で死体となって見つかった男の一人である達也を主人公として彼が文楽人形遣いとして成長していく物語とするパートのふたつを交互として描かれていく。
刑事パートでは、達也の師匠である吉村のことなどを調べながら、一体どうやって・誰が達也を殺したのかを調べていく。
達也パートでは、まだ人形遣いとして未熟な彼が、とある花魁人形に出会ったことから物語が大きく変化していく。言葉を喋り達也に話しかける人形・桔梗、気になる女性・真琴、兄弟子である朱雀などとの交流や、他人からの妬み嫉みなどを交えて物語は進んでいく。進むうちに、次第に達也と桔梗の思いがけない因縁が出てきたり、呪いの話が出てきたりと急展開が始まる。

てっきり現代モノだと思って読んでいたので、さらりとごくごく自然に人形であるはずの桔梗が言葉を話しだすあたりには驚いた。一体いつミステリーから現代ファンタジーの世界へと来たのかと。
それにしても、キャラクターとして可愛いのは兎にも角にも花魁人形である桔梗。廓言葉で喋り、どこか少女のような様子でありながらも花魁としての気高さも持つ女性。煙管を扱う様子が文章なのにめちゃくちゃ色っぽい。煙管を扱う様子は色っぽいのに、達也に顔を拭われてほっt喜ぶような可愛らしさもある。

以下ネタバレ。

だからこそ、最後の最後でお前かよ! と。うわー、完璧に騙された。傀儡人形は一つじゃないってそんなのありかよ! と。ラストの代わりように本当に驚いた。言葉も完璧に変わってるんだよな。

とはいえ、これをミステリーと言っていいものか。人形が人を操って殺人事件を起こし、そうして自分のうちにあった元の人間の感情で自殺するなどと、これどう考えてもファンタジーかホラーのくくりではないのだろうか……。謎解きか? と問われれば、若干素直にはうなずけない部分が多かった。
桔梗が喋り出したあたりでこれはミステリーではなくファンタジーでは? と思ったけれど、人の思いや恨みや遺恨が大量に詰まった人形が動いて喋ったらそりゃあファンタジーじゃなくてホラーにしかなりませんわ……という感じ。

しかし、ラストのぞっとする恐ろしさや、おまえかよ! というネタばらしの驚きも考えたらとても楽しかった本だった。

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