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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

片桐大三郎とXYZの悲劇 倉知 淳 (著)

★★★★☆ 読書 読書-文芸書

片桐大三郎とXYZの悲劇

ミステリー、連作短編集。
このミステリーがすごい 2016年盤7位。
大物時代劇俳優が、耳が聞こえなくなってから、趣味の謎解きをするお話。

なんでもいいから探偵と犯人が存在して謎解きをするミステリーが読みたい! と思っていたところで読んだ小説。
探偵役は、元大物時代劇俳優だったものの、途中で耳が聞こえなくなったことより俳優を引退し、現在ではプロダクションの社長をしつつ時たま警察に頼まれて事件の謎解きをする男、片桐大三郎。
ワトソン役は、周囲の人間が言った言葉を逐一ノーパソで打ち込み大三郎の手元のタブレットに表示させ、大三郎の耳となる仕事をする女性、のの子。
主にこの二人と、それから警察お二人がレギュラーとして、四季ごとの4編のミステリーが描かれる。

1本目の春から死体が出るわ、まともに終わると思ったら疑問点が発生し、体を使ってトリックを探るわで面白かった。そうだよ私が探してたのはこういうミステリーだ。
犯人はどうやって被害者に毒を注入したのか、どのタイミングで殺そうとしたのかという物語はやっぱり面白い。

キャラクター同士の会話もコミカルで読んでて楽しかった。
時代劇が骨の髄まで染み込んでいるが故に喋りが大仰だったりする大三郎と、現代的感覚で微妙にツッコミを入れるのの子のやり取りが面白い。実際こういう俳優さんいそうだなー、あんまり初老ぐらいの大物俳優さんには詳しくないのでモチーフとなっていそうな人はわからなかったが、詳しい人が読んだらにやりとできそう。
私はむしろ、役者時代の大三郎の話に思わずテンションがあがった。大正座っておそらくは明治座が元ネタかな? だとか、ちらりと出てくるのを考えるのが面白かった。明治座クラスの場所で1ヶ月公演してキャパ埋められて、かつ大阪などの巡業にも行けるって本当に半端ない大物だ。あんまりテレビは見ないのでテレビでの大物表現はわからなかったけれど、この舞台関連の表現でパネエエエエエとなった。

やりとりはコミカルとはいえ、事件は死体が転がっているものが大半で、事件自体はあまりコミカルとは言えない。とはいえ、こういうミステリーが読みたかった……! という欲は思い切り満たされた気分。ここまで容赦なく人が死んでしまうとなんだかミステリー読んでる感が出てくるぞ。秋のはちょっとどころじゃあなく後味が悪かったけれども。

ところで、あらすじに

「ドルリー・レーン四部作」を向こうに回した、本格ミステリー四部作をこの一冊で。 殺人、誘拐、盗難、そして……。最高に楽しくてボリューム満点のシリーズ連作。

とあるので、本作はおそらく何かの小説のオマージュが含まれているのだと思う。海外ミステリー全然読まないのでそちらのほうは全くわからなかったけれども、知っていれば数倍面白かったのかもしれないなと思った。機会があったらそちらのほうも読んでみたい。

倉知淳作品は高校時代に猫丸先輩シリーズを読んでた。あれもまた機会があったら読み返してみたい。

このミステリーがすごい! 2016年版

このミステリーがすごい! 2016年版

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