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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

異世界拷問姫 (MF文庫J)綾里 けいし

★★★★★ 読書 読書-ライトノベル

異世界拷問姫 (MF文庫J)

ダークファンタジー、バトル、トラウマ、ラブコメ……?
虐待され父親に殺された少年が、異世界の拷問姫と呼ばれる少女に召喚され、彼女の従者となる物語。

物語を一言で説明してしまえば「トラウマを抱えた主人公が、現代とは違う場所で暮らし様々なことを体験していくうちにトラウマを乗り越え、自らの存在価値を見つける」という一文に収まるのかもしれない。けれどこれで紹介したつもりになってたら確実にぶん殴られる。
父親から虐待され、痛みばかりを与えられて生きてきた主人公が、拷問姫と呼ばれる拷問器具を使用し悪魔と戦う少女のところに召喚され、死人でありながら人形に魂を入れられて第二の生を強制的に与えられる。体験していく様々なことは、どこぞの悪魔がいるっぽい場所があるからと行ったら目の前で子供惨殺パーティが行われて新たな精神の傷を負うだの、放置されていた人形を起動したらヤンデレ的愛情で一心不乱に愛されちまって超やべえだの、ちょっと普通じゃなさすぎる。
スプラッタや少々血なまぐさい描写が大丈夫な人なら面白く読めるかもしれない。描写の凄惨さ含めて物語に飲まれた。

ヒロインなのかな、主人公を異世界へと呼び出した少女・エリザベートが非常に格好いい。人として凛として立つ格好良さや、何事にも屈しない強さ、既に屈する弱さを捨て去ってしまった哀しさ含めて人として格好いい。
終盤に明かされたエリザベートの過去、彼女が拷問姫と呼ばれるようになった所以の事件がなんかもう痛々しくてなー。

主人公の人生に対しての諦めっぷりがすごくさり気なく事細やかに出てくるのがじわじわクる。
食に執着せず特に何を食うことも気にしてないのは今までそれを気にすることが出来ないような状況だったからだろうし、ヒナとの関係性を選べと言われた時に今まで他者との関わりの中で経験したことあるものを次々と排除していきまだ知らぬ関係性を選んだのも今までの人間関係が知れる。痛みを覚えながら記憶したことは忘れないというのも父親に虐待されたこと絡みだろうと容易に察しがつく。
そういった頓着しない主人公が、ヒナのおかげで生きなきゃならない理由が出来ただとか思えるようになったのがなんだかすごくホッとした。

ヒナはなんだろう、病んでいるわけでもなく、しかし終盤の台詞を見る限り規定されたプログラムから彼女の感情は既に逸脱していそうで。とにかく可愛いのは事実。可愛いは正義。ヒナが可愛い。ヒナは主人公の生きる理由となるんだろうな。主人公が死んだら死んでしまうと言い切っているし、そして主人公はヒナが大事(非恋愛的な意味で)だから彼女を死なせる訳にはいかない。だから今後は死ねないだろう。
っていうか何かあると飛んできて、主人公をお姫様抱っこして駆け抜け、でかい槍持って戦うメイド少女とか可愛すぎにも程がある。

読んでいてすごく面白かったし、続きがとにかく気になる話だった。続刊が出るなら読みたい。
読んでいて、なんとなく愛の物語なのかなあとも思った。ヴラド公のあれもある意味とても歪んだ愛だろうし。
話の内容的に主人公も拷問姫も、救われる道はあまり無いし二人とも救われること自体を望んでいないのではないかと思った。

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