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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

貸本屋ときどき恋文屋 (集英社オレンジ文庫) 後白河 安寿

★★★★★ 読書 読書-ライトノベル

貸本屋ときどき恋文屋 (集英社オレンジ文庫)

武家の娘・なつは、恋ゆえに出奔した兄を捜すため、単身江戸に上った。今は身分を隠し、貸本屋で働いている。
ある日、本に興味のない植木屋の小六が歌集を借りていく。恋歌がうまく作 れないという彼に、なりゆきで協力することに…?

江戸時代、恋愛、他人の恋の手助け。
まだ恋をしらない少女が、恋人と江戸へ駆け落ちした兄を探して貸本屋でバイトをするうちに、恋文の代筆を請負始める話。

面白かった。すごく面白かった。
文章が全体的にふわっとやさしいかんじで、主人公の雰囲気がなんとなくわかる感じがある。普段あんまり文章のこと言わないんだけれども、これは自分に合ってたので言っておきたい。文章がすごく好き。
恋を知らない、けれども武家であるから教養はあった少女が、和歌のことを訊かれたことから始まって恋文の代筆をするというあたりがなんかもう可愛い。本人は恋心についてあまりよくわかっていないのだけれども、必死に誰かのことを思う男たちをみて、その恋を叶えてあげたいと思う下りがすごく可愛い。
持ってこられる恋愛も、すぐになんとかなるようなものばかりではなく、遊女との恋や身分違いの恋など難しいものが多い。その中で主人公は、伝えるべきことは何か、どういう言葉で伝えたら一番想いが伝わるのかと文字の前で試行錯誤していくのがなんかもう本当に可愛くて可愛くてたまらない。
最初にふわふわとした好き合う恋愛を見た後に、すべてを棄てるかもしれないような恋を見て、恋とはなんだろうと思い始めるあたりがすごく好き。

「後悔はする。簡単に幸せなどつかめない。きっといつだって『ああすればよかった、こうすればよかった』と繰り返し悩むだろう。ただこれだけは言える。彼女を失えば、私は永遠に幸せにはなれない。この想いだけは捨てられないから」

この台詞あたりのシーンがすごく好き。痛々しいし切ない恋を抱えているのを手助けする、というタイプの話に弱い。

主人公のことを気にかけてくれている武士の男も良い感じで。どうみても主人公のことすきだろ? と思うような発言をしつつ、どちらも決定的なことを言わないあたりがもどかしい。こういう保護者のような顔して気になっていますという距離感がとても萌えるし好きなので読んでいてとても楽しかった。
時々言われるもしかしてこれってと思わせるようなフラグっぽい台詞も、(鈍感するわけではないが恋愛にはそこそこ疎い)主人公ならば気づかないだろうなあという絶妙な感じでとてもうまい。こんな手紙貰ったら嬉しい、だの、男は好きな相手に物を渡したい、だの、あからさますぎない程度にうまいこと言うなこの人と思わされる。

兄の居場所はわかったけれども会いはしなかったあたり、続刊の可能性もあるのかな。あるのだとしたらぜひとも続きが読みたい。今度は女の恋文の手伝いをするなつが見たいし、清次郎との関係が進んでも進まなくともすごく楽しみ。また、この作者さんの話を他にも読みたいと思ったので、何かあたらしいのを書かれないかとも楽しみ。

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