日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

赤×坂版『Equal-イコール-』(You Tube配信)

錬金術とは、現代化学の礎となった実在の学問である。鉛を黄金に変え、老いを若さに変え、肉片から新しい命をつくり出そうとした。不完全を完全にするための学問、それが錬金術である。 16世紀初頭、錬金術に傾倒していく医師パルケルススと友人サンジェルマンの奇妙な友情を描き出す。不完全なふたりの関係は、完全へと至るのだろうか?
 
脚本:末満健一(ピースピット)
演出:山浦徹(化石オートバイ)
出演:赤星マサノリ(sunday)、坂口修一
 
赤星マサノリ×坂口修一 二人芝居より

最近はナベプロで去年の夏あたりにも上演されたイコール。噂で面白いと聞いていたけれども、その時は夏ということであえなくスルー。しかし今回You Tube配信があると聞いて見て見た。
上演時間は1時間45分。濃厚な二人芝居は100分前後が良いと思っているので(確実にスリルミーの影響)調度良い感じ。

見た人

  • 末満脚本はよく噂に聞くけれども実際に見るのは初めて
  • もちろんナベプロ版も見てない
  • 話のあらすじ自体も聞いてないので本当に初見も初見
  • 感想はタイムラインで流し見した気がするけど全然記憶にも残っていない

感想

舞台に出てくるのは、医師であるテオと、彼の友人であるニコラ。テオはニコラの病気を治そうとしている。舞台上に出てくるのはこの二人のみ。二人の会話から、知り合いの婦長にどやされた話や、ニコラの可愛い妹にテオが懸想をしている話などが語られる。これが一日目、月曜日。
二日目、火曜日。舞台の上手から現れた『テオ』は、月曜日のシーンでは『ニコラ』だった青年。彼は昨日はテオだった青年をニコラと呼び、自分はテオとして昨日の続きの今日のような会話をする。そしてニコラもそれに当然のように対応する。
一日ごとに切り替わる『テオ』と『ニコラ』。時には新しい会話がされ、時にはテオの妹はとうに結婚したという話が何度も繰り返される。テオとニコラ、二人は一体どういう状態なのか――という物語。

二人の関係は、序盤の錬金術という言葉が出てきたあたりで想像したとおりだった。火曜日が始まってすぐは、これは物語の中では同じ人間のままであり、私達観劇者・観測者には別の人間に見えているだけなのでは? と穿った見方もしていたけれども、ちゃんと人間が入れ替わっていた。この穿った見方に関しては後述。
血液を体内にいれることを記憶のキーとしている、だとは想像していなかった。てっきり日記帳のほうが記憶のキーとして扱われているものだと思っていた。
序盤の笑いとして扱われるシーンを後半で恐怖、もしくはおかしな象徴として入れられているあたりがぞっとした。おちゃらけた様子で日記を見せろと追いかけるシーン、客席の声が前半だと笑い声が入っていたのに、後半だとしんと静まり返っているあたりが印象的。

作られたものと作ったもの、記憶を同一にしてしまえば、どちらもイコールなのだからどちらが本物かすらわからない。証明しようにも記憶は同一で、街の人も皆同一人物と思い込んでいる。妹すら違いがわからない状況で、彼は彼であり僕は僕でしかない。
いっそ恐怖でしかないような状況だろうし、せめてどっちが本物かわかるように実験の実行前に体に『こっちが本物』とでもナイフで掘っとけよと思った。
とはいえ、物語としては同じシーンや同じ台詞の多用によって二人の記憶の混在や混乱、次第に観客にどちらがどちらでと考えさせる辺含めてとてもおもしろかったと感じた。

人の切り替わりや雰囲気でか、以前見た従軍中のヴィトゲンシュタインが~を連想した。あれとは話も落ちの付け方も全く違うけれども、坂口さんのほうがヴィトゲンシュタイン~で友人と嫌な男の二人一役してた方と、柔らかい時の喋り方が似ていると思ったせいかもしれない。

 

後述すると書いた穿った見方について。
舞台はある意味観劇側にお約束があって、役者が前に出てきて「きょうは波が高い」と言えば、そこに何も無くとも、たとえブルーシートがなくともそこに海があると思い込む。先ほど兵士役で出てきた役者が下がっていって別の衣装で剣士として出てくれば、それは兵士とは別の人間であり、もう彼は剣士でしか無い。
故に、私も見ている最中に当初ニコラを演じていた役者が次の日テオとして登場した時、二人一役であり一人二役であるのかと思った。実際はそんなことはなくテオでありニコラであり、またニコラでありテオであったのだけれども。
そういうふうな舞台上のお約束を利用した舞台なのかと最初は思った。

 

実は末満さん作品を見るのが初めてで、あ~こういうふうな話書く人なのか~と。最近だと刀剣乱舞のストプレのほうをやられると聞いていたので、それを見る前に一回何かしらで作風が見れたのは僥倖。また、これをナベプロ版だとどういうふうに演じたのかも気になった。
山口さんと牧田さんだと比較的立ち格好というか雰囲気? をあわせられる気がするんだけれども、三上さんと辻本さんだとそこまで雰囲気が合致しないので、どういうふうに混じってニコラとテオが交じり合ったのかが気になった。

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