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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

武道館

武道館

【正しい選択】なんて、この世にない。
結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。
独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。
しかし、注目が集まるにしたがって、望まない種類の視線も彼女たちに向けられる。
「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」
「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」
恋愛禁止、スルースキル、炎上、特典商法、握手会、卒業……
発生し、あっという間に市民権を得たアイドルを取り巻く言葉たち。
それらを突き詰めるうちに見えてくるものとは――。
「現代のアイドル」を見つめつづけてきた著者が、満を持して放つ傑作長編!

現代もの、アイドルモノ。

気になっていたアイドルモノ、やっと読めました。
内容的には、同じアイドルモノでも今話題のアイドルマスターシンデレラガールズとは全くのべつ方向というか。あちらが可愛い女の子たちが徐々にアイドルとして輝いていく物語だとすれば、これはアイドルという存在である女の子がたちがアイドルとはなにかというものを考えていく物語。
前半で最近話題のアイドルによる炎上騒ぎや握手券商法というモノ、後半は恋愛スキャンダルに関しての流れ。微妙に話と話がぶつぶつ途切れている感じもあったので、時間を置いて少しずつ読むのに向いている感じでした。

こういう握手券に関する話を見るたびに、結局それの価値を「そのアイドルがつくり上げる創作物」に置くのか「そのアイドル自身」に置くのかと考えてしまいます。握手券というものはそのアイドル自体のほうに価値があると思っているから行うこと、それを創作物であるCDなどのほうにつけるのは、個人自体の魅力で創作物の魅力があるように見せているだけではないだろうか。欲しているのは創作物ではなくアイドル自身ではないだろうか。
同じようなことが私がおっかけている若手俳優界隈でもいえるわけで、舞台の後のアフタートークやお見送り、握手会。そういったものがチケットの売れない日に付属されているということは、やっぱり俳優らのつくり上げる舞台ではなく俳優ら自身で人を確保できると思われているからだろうか。
そんなことを考えながら読んでいました。
しかし、作中で、誰推しでもない感じだった人が、主人公である愛子との握手会を終えてから、再度もう一枚CDを買って愛子との握手に戻ってくるシーンがあります。そのシーンで、結局その人がすきだからこそ創作物を愛し、創作物がすきだからこそその人も気になってそして愛するのかなあ……などと考えました。
握手券などをつけての大量購入を誘う商法については、それによって得られるものを欲する人がいる限り、結局はなくならないのだと思う。でも、その握手会によって更に好きになった事によってもっと応援したくなるということもあるし。
そして、アイドルというものはその本人自身の魅力でもって人をひきつけ、魅せる職業なんじゃないかなと思いました。だからこそ、歌手みたいに場合によっては一人だけでその創作物単体で押していくのではなく、複数人でいるのでは、とも。ファンに夢を与えて、アイドルというものに対して夢を持ってきゃーきゃー言うことで活力だのなんだのを与える、それがアイドルなんじゃないかなって。
なんだか書いているうちに全然まとまらなくなってしまった。

終盤の異性スキャンダルに関しては、ぶっちゃけ私はアイドルはアイドルという職業なんだからその職業やっている限り許されることも許されないこともあるし、自制をもってやってくれ派なので、主人公の「昔と同じことをしているだけなのになんでダメなの」という意味の発言には結構イラッと来ました。
どちらかというとるりかの「るりたちアイドルなんだから、人間らしいところなんて見せちゃダメだよ。アイドルの仕事って、夢を見せることでしょ」のほうが、そうあってほしいというか、そうであってくれという願望に近いなと思いました。
アイドルって、結局歌だのなんだの、るりかの言うとおり夢を与える職業であって、だとすれば愛子のやったことはファンに対する裏切りでしかない。幼いころは許可されていることだって、年を取れば駄目になること、職業によっては禁じられていることだっていくらでもある。なのにそれを理解できず、事前にダメと言われているのに、幼なじみと恋人関係となってそれが週刊誌に乗って幼なじみだけではなく同じグループのメンバーにも迷惑をかけて、なのにまるきり悪くないような顔をして、私は幼いころと同じことをしていただけのつもりだったのに……って何を考えてるんだろうと思いました。
多分、愛子はあまりドル売りをしない歌手のほうがあってたんじゃないかなあ、とも。もうちょっと歌唱力があったら、実力派歌手のほうで売りだしたほうが、どこも不幸にならなかったんじゃないかと思いました。

結局愛子らが夢でありタイトルである「武道館」に立つのは、十年以上後のこと。それだけの時間を経て夢の場所に立った愛子らは何を考えているのかなあとも思います。

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