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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

我もまたアルカディアにあり

我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫JA)

間違いなく、まごうこと無く、江波光則のSFでした。
普段ほぼ全くレベルでSF読まないというかSFが非常に苦手なのですが、世界の下敷きをSFとしてその上に広がる江波光則な世界で最後まで読めました。

物語は、右目が青で左目が黒い一族を中心として描かれます。
その国は、四角いマンションを作り上げていた。働くこと無くただ日々を潰していけばいいというマンションの中。働いているのは公務員と呼ばれる一部の人々、彼ら以外は一切働かず、アルカディアと呼ばれる窓もないマンションの中で暮らしている。
物語の中では章によって時代が切り替わります。アルカディアマンションができたばかりの頃。マンションの第一や第二ができた頃。マンションが発達し、人々はマンションの外に出ることなどなくなり、娯楽のために体を作り変え始める頃。外へと出るのがほぼ不可能となった頃。そんな様々な時代における、左右の目の色が違う彼ら一族と、そして物語にうっすらと浮かび上がる熊沢という一族の物語です。

時系列がうまく整理できなかったんですが、多分
マンション作ってて事故った三十路男の話(アルカディアマンションを作る途中の話なので)
 ↓
妹と夫婦として暮らす無職男とブルースマンの話(アルカディアマンションの第二弾ができたあたりなので)
 ↓この間結構時間が経ってる?
創作のために下半身潰したおっさんと小説家老女御園の話
 ↓
バイク野郎と彼に憧れた女の子だった現在おばさんの話(小説家御園が祖母と言っているので)
 ↓
マッドサイエンティストな父たちによって改造された青年の話

で、いいのかな。
時系列が混ざる話が慣れていないので、読んでいて時折つまづきました。ざっと読んでる時は無職男と妹が眼の色が二色の彼らの始祖かと思ったんだけどどうなんだろう。長ったらしい名前が云々とあるけれども、名前的な意味での始祖は無職男と妹になるけれどもマンションの出来上がり具合から考えたらやっぱり改造人間御園のが前な気がするし。

江波光則の特徴とも言えるカーストは健在。スクール部分はないけれども、差別と立場のさは明確に存在していました。
この人の書くカースト部分ってうまくいえないけどめちゃくちゃぞっとするんだよなー。今回もいっそ気持ち悪いぐらいでした。

物語に対しての感覚が、葬シリーズの2巻で出てたのとすごくじわじわ近くて気持ち悪い(褒め言葉)。

 お前やお前、私や私が面白いかどうかなどどうでもいい。  たくさんの人間に利用される価値のあるものになれてさえいればそれでいい。それが私の信念だ。唯一、御園珊瑚の作家性に私が比肩しうる哲学だ。

こういう、わかる、わかるけど認めたくないみたいなかんじのを目の前に突き出される感じがあって江波作品はすごく精神にクる。
物語の登場人物たちはそれに対して悪い感情殆ど持ってなくて負の感情すらもない状態で、こっちからしたら気持ち悪くなるような事実を出してくるのがすごく怖い。

江波光則作品が好きな人にはおすすめなやつです。特に6割ぐらいまで到達してからはノンストップで読みました。 SF苦手でも楽しめました。

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