日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

情報系女子またたびさんの事件ログ

情報系女子またたびさんの事件ログ (TO文庫)

いえーい情報系女子! みたいな学部にかよってたので気になって読みましたが、見事に精神を打ちのめされ、読んでいて死ぬかと思いました。読むのがあまりにつらすぎて閉じたくなった本は久しぶりです。

超絶お人好し青年相川くんは、研究室を決めようという時期に学園祭中止事件に巻き込まれる。その犯人を探すために訪れたのは、画像情報研究室。そこで今回の事件の手がかりをつかめないかと来たのだけれど、そこの床に転がっていたのは、中学生にも見える先輩・またたびさん。彼女に協力してもらい、お人好し青年相川くんは無事学園祭中止事件を解決できるのか! という感じの話です。

今までの章で出てきたちょっとしたあれこれを、全て最後の章で集結させて解決させるのがとても格好良かったです。素敵でした。ただ、それ以外の部分で被弾しまくって心が痛すぎて死ぬかと思いました。

「じゃあ、ふたつの全く同じ画素値を持った画像AとBがあったとするでしょ。ここでは簡単に一画素しか持っていない画像だとしよう。そうすると、画像Aは(215, 230, 211)、画像Bも(215, 230, 211)、さてではこのAとBを各RGBごとに引き算するとどうなるかな?」
「えーと、それだと両方とも同じ値なので(0, 0, 0)、つまり全部0になると思います」
「そう、同じ色をした部分は全部0になる、これが背景差分の基本的な原理。同じような理屈で事前に背景だけ撮影しておいて、人と背景が写った画像を撮影する、それから背景を引いてしまえば、ゼロにならなかった部分が人が写っている部分っていうのがわかる。だから、人の画像が簡単に抜き出せるの。ね、簡単でしょ」

授業で受けた気がする(そしてろくにわからずろくな点数を取れなかった気がする)という部分から始まって、卒研の定期発表の最中に「それは必要あるの?」とまたたびさんが突っ込みをいれるシーン。更には理系女子はいわゆる広告塔にされがちという言葉などなど、そうだよねえあるよねえわかるよおいやめろ死ぬってなります。私は広告塔には全くされなかったけど、実際そういうことがあるのは知ってます。ただ佐々木、理工学部に女子が少ないのは当然だろ! 何故入る前に気づかなかった! クズ学生だったので卒研発表のシーンが本当に心に痛かったです。辛かったです。おいやめろ死ぬ。

キャラクターは面白かったです。
またたびさんがガチの変人っぽく書かれているけれど、ちょっとばかり頭が良かったそして口が回っただけで、中二病をこじらせきった人にも見えました。多分、この研究室っていう生ぬるい空間にいるうちはそれがわからなそうな気がする。研究室の人たちがまたたびさんのことをちゃんと理解してくれて、わがままにも付き合ってくれるうちはきっとまたたびさんはそれに気付かないんだけれど、それでも彼女は気付かないだけで幸せなんだろうなって思いました。床にころがしてくれる松木さんが最高にわかっててかつ優しさも容赦もない。最高。
多分この人社会に出たら面倒くさそうな気もします。周りが気を使って、彼女のことをわかってるからわがままに付き合ってくれてるから、正しい正しさを行使できるんだろうなあって。このまま研究者の世界にいたほうがいい人だ……。

相川くんは多分本当におかしいタイプの人だろうなって思いました。「理由は、特にないです。というか、いりますか、理由?」たぶんこの言葉が全てを表している。
一番最後の章でまたたびさんが「最初から騙されてたんだ」って言ってますけど、あれはきっと相川くんが御杉を友達と言っていた件なんですよね? 本当は一回財布を拾ってもらっただけで友達でもなんでもなかった、それなのに相川くんは彼を助けると言った。そのあたりがまたたびさんが騙されていたことであり、そのお人好しさがまたたびさんが合理的ではないが面白いと思った部分なんだろうなって思いました。
またたびさんが社会不適合者だとすれば、相川くんは日常にまぎれるちょっとおかしいタイプの人だなと感じました。

このまま相川くんが研究室に入って四苦八苦するのが見たいので、続刊が出ることを期待しています。頑張れ相川くん。そして他人の研究の手伝いばかりして自分は卒研終わらず留年しそうな気がするよ相川くん。

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