日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

言言 第二回公演 『5seconds』 6/28 14時回

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言言 第二回公演 『5seconds』 | 仙台演劇カレンダー

1982年「日本航空350便墜落事故」を基に描かれた事故機機長と若手弁護士の密室劇。閉塞感と清潔感が漂う部屋で、事実を巡る物語は進んでいく。
狂気が凶器となり見せた景色か、あるいは組織が個人を蔑ろにし葬られた真実か。
組織としての異常な体質と、個人の立場・関係を、緊張感溢れる会話で問題提起するパラドックス定数の代表作。
着陸寸前の5秒間。コックピットの真実を。

作 野木萌葱、 演出 中村大地(屋根裏ハイツ)
出演 飯沼由和 松井歩(東北大学学友会演劇部)

見た理由

今ちょっと舞台づいてて何か見たいな~と思ったところで、10boxのサイトを見たら気になったので。

話について

私は元となる日本航空350便墜落事故は生まれる前の事件なんであんまりよくわかりません。一応「機長、しっかりしてください!」という言葉は知ってますが、飛行機(飛び立つ前に毎回貧血起こすぐらい嫌い)に乗る前に、飛行機事故……飛行機事故……と呻きながら調べているときに見たぐらいです。貧血起こすくせに調べるのは馬鹿のすることだよ。

上演時間は100分間。面会一つが1場になってて、面会1回が終わるごとに一旦下がる。そして次の回になるたびに出てきて下がるの繰り返し。もう最初の出だし部分で片桐の圧力とそれに圧倒されつつあるヒガノの状態で、こちらが見ていてゾッとする。
シリアスで、重い話なんだけれども、見終わってから泣くとかじゃなくてただただ呆然とするか圧倒される、そのどちらかって感じでした。

すごかった……。ヒガノと片桐が入ってきて、片桐が「おはようございます」と繰り返しいうあたりからもう、片桐という男の異常性とよくわからない威圧感がすごかった。片桐自身は別に威圧感なんて出そうとしてないだろうに、よくわからない圧力? みたいなのがすごかったです。
面会1回めではまだヒガノと片桐がわかりあえていない・互いを全く信用していない状態だったのが、回数を重ねるに従って、間違っても信頼ではないだろう、けれども何か連帯感のような、なんなんだろうあれ、うまく言えない絆? 何かが二人の間にできていくように見えました。
ヒガノはからかっているのかと怒っていたけれども、きっと片桐にそんなつもりはなく、彼はまっとうなことを言っているつもりだったのかもしれない。彼が途中で「最近頭のなかが明るくなったり暗くなったりするんです」と言っていた、それが如実にあらわれているのがヒガノへの態度だったのかも。
二人が怒鳴りあう、最初の電話のシーンがすごく怖かったです。

最後の面会、最初からハイテンションのヒガノに片桐と同じようになにがあったんだと思いました。フライヤーなどにも使われている「乗ります? 三五○便。私の、最後のフライトでよろしければ」。そこから始まるフライト再現。楽しげに付き合っていたのは片桐だったのかヒガノだったのか、再現が終わるときにはわからなくなっていました。
片桐が言っていた、自分より下だったはずの人間に追い抜かされる恐怖、自分に流れる血という自分ではどうしようもないもののせいでどうにかなってしまう気がする怖さ、仕事上の失敗を他人になんとか対処してもらうんだけどそのことで湧き上がる憤りややりきれない思い、全部わかるからこそ気持ち悪さもあり、わかってしまった自分への嫌な感じもありました。
鳴り響く危険ブザーがまるで聞こえるかのような気がしました。
そして、一連の再現を終えてから「今度は着陸できる気がしたんですが」という片桐の、彼にずっと残っていた機長としてのプライドや、本当は安全に運転したかったろうあれこれが見えてしまった気がして、痛かったです。
それとなんとなく思ったんですが、彼がそのごっこ再現に付き合ったのは、ヒガノに対する彼を自分の操縦する飛行機に乗せるのが恩返しであるとでも思っているようなそれに起因しているのかなと思いました。

見終わってから、なんだかすごいものを見てしまった……という感覚。 最後にどんでん返しがあるわけでもなくすとんと終わりすぎていて、何か思うことがあんまり出来ませんでした。ただ圧倒されて、それで終わり、みたいな。物語としての大きな変化やラストのどっきりではなく、本当に役者二人の力量でがつんと見せてこられた感じ。たぶんあの二人の台詞の間とか、少しでもちがったら全く違う舞台になっていたのだと思いました。

時折文字『第1場』などとが表示されることもある奥のアクリル板っぽいやつが気になりました。
あんまり下調べせずに来たため勝手に機長と副操縦士の話だと思っていたために、コクピットのフロントガラス(あるのかわからないけど)から朝日が見えるところかと思っていました。結局何だったんだろう。

登場人物について

ヒガノはほぼ斜め後ろからしか見えてなかったので表情がよくわからなかったのが死ぬほど勿体無い! 二人劇だからってどこでもいいからと適当に座りすぎました。表情も、片桐を見るにかなり動かしてそう。
若い弁護士さん。片桐の狂人なのか常人なのかわからない態度にいちいち丁寧に反応するためにすげー疲れてそうな人って見えました。でも彼だけがちゃんと片桐の話に向かっていたのかもしれない。
時折言葉に詰まったり言い直したり、写真を並べるときに手を引っ掛けてしまったりと、そういうのが片桐の見えない圧力に気圧されているっぽくてすごかったです、というか片桐の気持ち悪さが増してました。
彼は多分片桐のいうことを信じてたし片桐にそれなりに全うになってほしいと思ってたんじゃないのかなあ。じゃないとあんなに責任というものについて話せない。片桐のまともだった頭に少しでも火を灯したのは、ヒガノが責任について話したあの言葉だと思っています。「間違っています、責任を負う人間がいなくなります!」のあたりだとか妙に納得してしまった。怖い。そこからの片桐の「もう一度研修を受けて機長になろうと思うんです」の流れも狂っているし、彼がそれを諦めるくだりも狂っているとしか思えなかった。
彼にとって上司の松岡は結局尊敬できる上司なのかブタだったのか。片桐の前ではブタと言っていたけれどもあれは口だけなのか、本気だったのか。そのあたり妙に気になりました。

片桐は気持ち悪かっためちゃくちゃ気持ち悪かった! 日本語を話している、言葉は一文一文で見るとおかしくない、でもヒガノとの会話の流れで見るとめちゃくちゃおかしい、すごい気持ち悪かったです! なんだあれ、狂ってる、って会話からしてすごく思えました。気持ち悪かった。
彼は「日本航空の機長」であるということに対してずっとプライドを持っていたし、「日本航空は一流企業」であることもプライドを持っていて、だからこそヒガノに対する恩返しは日本航空の機長である自分が操縦する飛行機に乗せることであり、機長である彼のプライドが傷ついたことが事件の原因になったんだろうなあ……と。私の解釈いつも間違っているから違うと思うけど。でも、彼が機長であることにすごくこだわってるのはそこらかしこからひしひしと伝わってきて痛いぐらいでした。多分すごくプライドの高い人間なんだと思います。国際線から国内線になった時も、嬉しかったとは言っているけど見栄だったんじゃないのかな。時差に気を使わなくて済むからとは言ってたけど、本当にそれだけだったのかな。
「事件を起こすにふさわしい病気なんてあるんですか!」のあたりなんてすごくふつうの人みたいな言葉を言うくせに、全然頭の流れは普通じゃないんだ。多分彼の言うとおり、頭が点滅していてまともに考えられないんだろう。最初は気持ち悪い、ただただむかつく野郎だ、圧力すごいけど基地外だ、と思っていたのに、最後の面会が終了した時には彼にあっただろう憤りとか不安とか恐怖とかなんかじわじわ伝わってきて痛かったです。
彼にかんしては役者さんがすげーなとめっちゃ思いました。すげー舌噛みそうな薬の名前ぺらぺらと言っててすげえ……。こええ……。あと表情がすっごい。笑っている顔からすうっとそれが消えていっていつのまにか無表情になるあたりなんて気持ち悪いとしか言いようがなかった(褒めている)。すごい、気持ち悪いっていうのが褒め言葉って言われても困るかもしれないけど、ぞっとする感じがとにかくすごかった。

その他

小劇場系行ったの初めてなんですが、席とステージがめちゃくちゃ近くて驚きました。
近いしいいや~と思って端っこの席に座ったんですが、会話劇なので当然っちゃー当然なんですが表情が大きく物語に関わってくる劇だったので中央付近の両方の顔が見える位置に座るべきだったなと思いました。

それとこれは完璧に個人的な得手不得手関係なのですが、衣装着た役者さんはその登場人物に見えちゃうし、だから登場人物が物語の中と違うことをしていたりするのがとても苦手で。カテコまではいけるんですけど終わってから役者さんの素を見るのがすごく苦手なんで、アンケ書いてから外出たら役者さんいてめちゃくちゃ動揺しました。予測してないからドッキリだった。東京とかの舞台だと、お見送り有りって無い限りそういうの無いからほんとびっくりしました……。

カテコでも作中憎み合ってたキャラが笑顔でいたりするとほぼ100%泣くんですけどね! 上川主演赤真田の淀君と家康公が手をつないでいるの見て初演1回再演2回全部泣きました。深作里見八犬伝で荘介がカテコで元気に旋風脚してるのを見ても泣きました。ミステリーステージコナンで鶴見が笑顔で立ってたときも泣いたし答え合わせでにゃんにゃんしてるのもくっそ泣いたし、スリルミーいれまりでいれ彼が灯油を客席にぶちまけるような動きをしたのも号泣しました涙腺壊れてる。

劇場

仙台10box。自宅から自転車で15分するかしないかぐらいだったので最寄りバス停その他は一切わかりません。よく卸町ふれあいまつりで近くまで行く倉庫っぽいとこかと思ってたらそこは能boxのほうでした。そこからもうちょっと行った先の公演を左に曲がった先。

box-2という部屋だったんだけれども、キャパは60前後? ぐらいに見えました。普通の椅子に座布団が敷かれていたため尻が痛いとか尻が痛いとかはありませんでした。
私の座っていた位置だとちょうどライトの位置が悪くて、終わってから感想書くときにどうしたって自分のあたまで影が出来て文字が非常に書きづらかったので、次に行くときは小型ライトを持って行きたいです。

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