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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

この恋と、その未来。 -一年目 春- (1)

正直に言います。この物語において、主人公とその父のエピソードが井上敏樹とその父のものをネタに使っているって聞いて読みました。井上敏樹が好きです。実際読んだら、多分井上敏樹は父のほうっぽかったです。料理が得意で仕事用マンションに人集めて飯作ってるって井上敏樹でしょ、仕事の知り合いを集めて屋内ジンギスカンしてる井上敏樹でしょ……! (参照:村上幸平ブログ

中身は、とても真面目でシリアスな恋愛学園小説でした。なんだこのものすごい罪悪感。

過干渉な姉たちから逃れるために寮のついた高校へと入った主人公。さあ新しい生活が始まるぞ、と思ったところで言われたのが、寮の同部屋の男に見える奴は実は女です。トランスジェンダーな彼? 彼女? は、体は女、心は男。モテる彼に女の子の誘い方なんかを教えてもらってダブルデートなんかもしてみるけれども、しかし主人公の恋心の向く先は次第に……というタイプの話。

相手の体は女子だからこそ、しかも裸を見てしまったというのもあって、未来を女と認識してしまう四郎の気持ちはわからないこともない。同時に四郎はいいやつなので、未来が自分を男として見てほしいということがわかっているため女としては扱いたくない。
最初読んだときは未来の行動がイケメンなんで未来イケメンすぎ! と思ったけど、四郎も行動はヘタレにも見えるけれどもすっごいイケメンだと思います。未来に対して、きっちりと相手の心情を慮って、男として対応しているんだから。
それにしても、これほど全裸を見ちゃってドッキリ★ラブハプニング! が精神にクる本も無いんじゃなかろうか。

未来に関しては、微妙に流れは違うけれども、新井素子の二分割幽霊奇譚を思い出しました。あれは、仮性半陰陽からの性別転換で男から女になったものだけれども。
二分割幽霊奇譚だと「男から女になったことで、異性に対しての憧れがなくなった」子が主人公で、女のガサツなとこも男のくだらないとこも見ちゃったせいで恋愛は……みたいになってる子の話なんですが、それを考えると女子校に入ろうともそういうのなしに女子カワイイって恋愛できる未来はすげえと思いました。

個人的には、比較的最近広島にも行ってきたので、広島が舞台なのは面白かったです。しかも宮島にも行くし。宮島も行ってきたので、あーーーあのフェリーか! みたいに思えて面白かったです。

「こっちのヤツらってさ、本通りの方に行くのを、『町に出る』って言うんだぜ。お前、知ってた?」
 バスの後部座席に座ってしばらくして、未来がそんなことを言った。
「町に出る、って何? どういうこと?」
「俺もお前も東京だからさ、分かんないんだよ、その感覚。だけど、こっちの人間にとっては、町イコール本通り周辺なわけ。他は町じゃないわけよ」
「村なの?」
「そうじゃねェよ、バカ。繁華街ってことだろ」
「あー、びっくりした。俺、知らない間に村民になったかと思った」

仙台でもそういうこと言うので、あーわかる! だからね、そういう風に言うよね! と広島に対して謎の親近感を持ちました。多分次に広島に行くときは正体不明の親近感を抱いて無駄に機嫌よく歩きまわってしまいそうな気がする。
仙台と広島ってちょっと似てるよね、みたいな話を前に聞いた時はどこがだろって思ってたけどなんかそのあたりですごく納得しました。

めっちゃくちゃ重い話なのに、井上敏樹につられて読んで非常に申し訳ない気分です。しかも読む前に森橋ビンゴ井上敏樹ゲストニコ生で見てしまったせいで、あーあの井上敏樹とキスしてた893の舎弟みたいな外見の……みたいなイメージを持ってしまって非常になんだかひどい状態で読んだなという気分です。次の巻読むときまでにはその辺りのイメージをうまいこと消し去ってから読みたいと心の底から思います。

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