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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

火ノ児の剣

読書 読書-歴史小説

火ノ児の剣 (講談社文庫)

火ノ児の剣 (講談社文庫)

あらすじに牧野成貞の名前があるから読んでみました。

牧野成貞といえばあの犬将軍徳川綱吉側用人元禄赤穂事件の頃はすでに綱吉の寵愛は柳沢吉保に移っていたと言われていますが、まあそれなりに家に通われてたり嫁だの娘だの献上したりしてたのが牧野成貞です。
元禄赤穂事件あたりの小説を読んでいると大抵柳沢吉保しかいないので、たまには牧野成貞の出てくるものが読みたくてこれを読み始めました。

(これが、一番年上の老犬かえ)
 そのころ巷では〈三頭狗〉、つまり三頭の犬という言葉が囁かれていた。
 牧野成貞は寛永十一年(一六三四)生まれの六十歳、将軍綱吉は正保三年(一六四六)生まれの四十八歳である。さらに牧野と同じく側用人の職にあり、最近とみに綱吉の寵愛をあつくしている柳沢出羽守保明(後の吉保)が万治元年(一六五八)生まれの三十六歳。みな、一まわりずつ年の離れた戌年だった。

個人的に、こういうあたりめっちゃ面白かったです。
元禄赤穂事件のあたりだと前述の通り牧野成貞はまったくもって気配が薄いので、三人揃っての名称とか無いからね。こういう○○トリオ的な名称が出てくるとなんだか笑っちゃいます。

本編の主人公は新井伝蔵、のちの新井白石
新井伝蔵が牧野成貞に呼び出しを食らって、これから起こるだろう事件を防ぐために雇われてくれと言われることから物語は始まります。しかし、当然ただの警護・護衛じゃない。実はそれは牧野成貞が、自分から離れかけていた綱吉の寵愛を再度得るための策謀で、という感じの物語。
新井伝蔵は初めて見る名前だったのですが、新井白石のほうなら記憶に残っている気がして検索かけてみました。元禄赤穂事件の時に荻生徂徠と逆の立場とってた学者だーという感じの記憶ですがかろうじて何かしら覚えてた。

この新井伝蔵、なかなかいい性格してる。
学者になりたい、勉強を教える立場になりたいと思っているが、以前戦いで額についた「火」の字の傷の迫力もあいまって、回ってくる仕事は剣客としての仕事が多い。本人的には不満なんだけど、そのくせ親父の形見の刀渡されるとテンション上がっちゃう。多分ただのないものねだりの人なんだなーって感じがします。このまま学者として過ごしえいるとそれなりに不満を持ちそうな気がする。
梶に対して、自分は妻子のいる身なのに梶を抱いておいて、梶のほうには別の男がいるとわかるとなるとキレるあたりもなんとなくとても自己中心的のないものねだりのわがままっぽい。なんとなくクズと言いたくなるような部分が、うまいことギリギリのラインで魅力的な感じです。

個人的に好きなキャラは伝蔵の嫁さん。ツンデレ。多分。ツンのほうが割合的に多いというか、完璧にツンに見えなくもないけど多分ツンデレ
ちょっとこれから危ないからお前は尼になってくれという伝蔵に対して嫌だと言い、どうせだったらと酒をかっ食らうと言い放つ。今生の別れということは生まれ変わっても妻になれというのか、そんなの嫌だなどと言い放つ。そんな彼女の真意があとからわかるところ、ああこれはなんていいツンデレ! となりました。
ツンデレ。たぶんツンデレ。とても可愛いが、伝蔵にとっちゃどうしようもないだろう嫁さん。

新井伝蔵という人自体に興味を持ちました。
読書メーターを見ると結構破天荒に描かれているだけで実はそうでもない人っぽいので、比較的普通の姿っぽい話のも読んでみたいです。

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