日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

和風ファンタジー「妖国の剣士」

妖国の剣士 (ハルキ文庫 ち 2-1)

妖国の剣士 (ハルキ文庫 ち 2-1)

 

幼い頃に弟を拐われた黒川夏野は、女だてらに妖かしと戦う剣の腕を磨いていた。そして安良国の都・晃瑠への一人旅の途中、社に封印されていた妖かしの片目を取り込んでしまう。一方、幼児誘拐が頻発する晃瑠に、奇妙な二人組が現れる。一人は安良国最強の剣士と謳われる鷺沢恭一郎。もう一人は片言しか話せない奇妙な少年・蒼太。弟の行方を探す夏野が、妖かしに追われる二人と出会い、物語が始まる…。和風ファンタジーに新たな歴史を刻む傑作登場。第4回角川春樹小説賞受賞作。

数年前に行方不明になった弟を探して都に向かった、外見は少年剣士にも見える少女夏野。弟を探しているはずなのに、気付いたらあやかし関連の事件に巻き込まれた彼女の物語。
誰かが自分をだますなんて考えない真っ直ぐな夏野がすごく可愛いです。すーぐ人のこと信用しちゃう。あからさまに怪しい話であろうとも信じちゃうし、一度自分を騙した相手であろうと信じちゃう。おぼこい子だなあと思いました。

多分話的にはW主人公になるのかな。もう一人の主人公と思われる恭一郎は格好良かったです。
刀の腕も立つし、懐もおそらくは広い。妖かしの子供を一人家において育てている。そりゃあ夏野が惚れるのもしょうがないといった感じです。
夏野の淡い恋心はすごく可愛いんですが、恭一郎難しそうな人だからなあ。昔の女が心のなかにまだいるし、夏野の恋は難しそうです。

そんで、この恭一郎が育てている妖かしの子供・蒼太がとにかくかわいい!
まんじゅうや団子のような甘いモノが大好きで、特に白玉に目がない子。外見もどうみてもただの子供。そんな子なのに、面倒臭かったら狸寝入りもするし知らないふりをする。結構いい性格をしています。
最初、物語的に主人公のはずの夏野と絡んでいくのかなーと思っていたのですが、夏野よりも恭一郎との絆のほうが多かったです。擬似親子というには何かが違う、どちらかというと仲間というか、そういう言葉でしか表現できない恭一郎と蒼太の関係が可愛いです。

そして、更に恭一郎の友人であり、理術師(多分魔術師っぽいもの)である伊織。この合計4人が物語を動かしていきます。

 

個人的に気になるのは由岐彦です。夏野の兄の友人で、実はこっそり夏野と結婚すると、夏野の兄と約束をしている人。剣もできて強いというのに、夏野に関してはことごとくヘタレ。
同じ屋根の下に惚れた女がいるというのに何もできない。泣いている夏野に対して、抱きしめて慰めでもすればいいのに、それをしたら弱みに付け込んでいるようなだとかなんだとか言って抱きしめない。このヘタレが! と読んでて背中どつきたくなりました。もうちょっと押せよ! 格好良い所見せろよ! と。
夏野が自分の屋敷に来た時はちゃんと女物の着物を用意して彼女の可愛いところを見たいと準備したりと頑張っているのに、色恋沙汰にうとい夏野には全く通じていないし、由岐彦自身も全く伝えきれていないのでなんかもう頑張れよと読みながら思っていました。夏野に惚れているのはわかったから、わかったから手を出せと。

夏野から恭一郎へ、由岐彦から夏野への恋愛感情が見ていて面白かったので、今後彼らの状況がどうなるか楽しみです。
夏野の弟関連の物語は今回で一段落したのですが、どういうふうに物語が転がるのかが気になります。

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