日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

メメント・モリ「藁の盾」

藁の楯 (講談社文庫)

藁の楯 (講談社文庫)

 

二人の少女を惨殺した殺人鬼の命に十億の値がついた。いつ、どこで、誰が襲ってくるか予測のつかない中、福岡から東京までの移送を命じられた五人の警察官。命を懸けて「人間の屑」の楯となることにどんな意味があるのか?警察官としての任務、人としての正義。その狭間で男たちは別々の道を歩き出す。

映画の予告で気になったので見てみました。……というか、プラチナデータと勘違いしてたやつです。

読み終わったあと、とにかくやるせない。
どこで間違ってしまったかですらなく、誰も彼も心情が理解できるからこそやるせない。いや、清丸だけは、うーん、清丸も虚勢を張っての言動だったということがわかる故にやっぱりやるせない。
この読み終わってやるせない感じはすごく好きです。だったらどうしたらよかったんだ、どこで選択を変えたらよかったんだと頭を抱えるこのかんじ。きっと、どこを変えても駄目だったんだろうな、このラストしかなかったんだろうなと思いますが。

 

主人公が嫁を通してメメント・モリ状態になっているのがすごく好きです。
嫁がもういないのだから死んだっていいという主人公の心情の一部には、嫁に認めてもらうためだったら職務の途中で死ぬというのが良いのではないかというのもいくらかあったんじゃないでしょうか。だからこそ、あそこで清丸の盾になるために飛び込んだ。けれど、そのせいで清丸の盾になんかなりたくないと思うっていうこの流れ。死にたいとすら思ってたのにこいつのせいでなんて死にたくないっていう相反する考え。それだけ清丸がクズだってことなんですけど。
おそらく、誰かのために死ぬのだったら嫁は良いというだろうけれども、このクズのために死んだって嫁は笑わないだろうっていう考えがあったんじゃないかなーと思っていました。

清丸はクズでどうしようもなくてマジでクズなんだけど、途中の口調や煽るような言い方は殆ど虚勢だったんだろうなと思います。そうでもしないとやっていけなかった、そうでもしないと発狂しかねなかった状況だったから。
とかまあ何とか思ってこいつもある意味被害者かもしれない……なんて思いかけたんですがクズはやっぱりクズだった、死ね。

個人的に好きだったのは白石でした。アホの子っぽい感じも含めてすごく好きです。主人公のことを一心に信頼してたんだろうなと思います。だからこそそこで糸が切れてしまったのだろうなとも思います。
後半、かなり後のほうまでずっとアホっぽい乗りのままでいてくれたおかげで少しだけ気分が楽でした。彼がいてくれたから物語がまだ読めたのかなーと思います。
彼の銃撃シーンのスピード感がすごかったです。あのあたり勢いで読んでしまった。

 

結局、一人を除く四人は全員「職務を全うした」のですよね。クズを警護して送り届けるという職務を行った。しかし、それは「人の命を救った」ことではない。
10億手に入るのならばと何度も思ったろうし、夢想したかもしれない。それでも彼らは職務を全うした。けれどもその結果待っていたのはどうしようもない結果だけだった。
本当にやるせない話だなと思います。

ラスボスというかこの話で言うなら資産家、あっちの話で言うなら先生、そのあっけなさに関してはプラチナデータと同じにおいを感じました。
どうにもすっきりしない話でした。

 

映画のほうをざっとウィキペディアで見てみたところ、やっぱり白石が女になってるのですね。読んでみた時に主人公とバディっぽい部分があったので、おそらく実写化する際には女になるだろうなーと思ったら予想通り。
しかし、どうしてこうも女にしたがるんだろう。事務所とかスポンサーとかの関係かな。そのままでも良いんじゃないかなーと思うのですが、プラチナデータの先生しかり。

読んでいて、改行の多さでなんとなく脚本家かその界隈の人かなーと思ったのですが、漫画原作などをされている方でした。
個人的な偏見ですが、脚本家さんとかの文章だと改行が多めの印象。

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