日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

老兵は衰えず、少年は成長する「セルロイドヘヴン」

セルロイドヘヴン (ファミ通文庫)

セルロイドヘヴン (ファミ通文庫)

 

 

パニッシュメントなどで好きな江波光則氏の別PN作品と聞いて購入しました。

江波光則作品といえば、底に漂うスクールカーストや、どこかどんよりと暗いながらも読後感がそれなりに良い感じ、というイメージがありました。

 

“貴族の養子”になれば「天国」が待っている。そう信じた捨て子のドルチェは、幼馴染みとの約束を破り外の世界へと飛び出した。それから5年後??。成長した彼は“御爺”と呼ばれる育ての親の元に帰ってくる。誰もが想像し得なかった壮絶な体験と記憶を背負って。泣き虫だった少年を冷酷な仮面に変えた「天国」とはどんな場所だったのか? 彼を追う捜査官の目的は? そして本当の「天国」とは……? 新鋭が贈る、歪んだ愛と苦悩のアウトサイダーストーリー。

 

セルロイドヘヴンは、前半が泣き虫だった少年ドルチェが貴族の養子という名目の愛人となって男女問わずヤらされたりなんだかんだして性格ちょいと歪んだ後人を一人殺してから地元に戻ってくるまでの物語、後半が老兵でありドルチェの育ての親だったガウェインのバトルの物語という形になっています。
江波光則といえば的なカースト部分は残っていますが、現代ではなくウエスタンな感じ。しかし、文体は雰囲気、あと何故か戦闘描写あたりがものすごくこの作者だなーって感じました。

 

あらすじにあるとおり、歪んだ愛の物語。ガウェインとドルチェの親子というか家族というかの歪んだ愛情、好きです。
擬似家族萌えですがこれにはそういった意味では萌えず、父と子、超えるべき相手! みたいな、少年漫画的な意味での燃えはありました。

後半の主人公ガウェインがほんっとうに格好いいの! 昔傭兵だった老兵で、現在は一発ごとに弾を込めなければならない銃を扱う程度なんですが、暗い場所での狙撃も外すことはなく、思考力も全く衰えず、守るべきもののために戦えるところ格好いい。
今育てている女の子を膝に乗せているときは全く好々爺の顔をしているというのに、銃を持って戦わせると罠を仕掛け相手をひっかけ目的を遂行するあたり本当に格好いい。老兵衰えず。渋いおじいちゃんがきりりとした顔を見せるの好きな人は絶対好みだと思う、ガウェイン。

ドルチェは、そんなガウェインに甘えている部分もあるなと思いました。最後に、過去に見つけられたその洞窟に来たんだから。殴られるだろうことを内心ではわかってたんじゃないのかなー。
泣き虫だった彼が貴族のトコで泣けなくなったけど、また泣けるようになって、色々と吹っ切れたのかなと思いました。ドルチェにとってガウェインは、超えるべき父であり目標とする男であり……みたいなかんじなのかなあ。そのガウェインを結局超えることはできなかった、ってのがすげー好き。
出だしでドルチェとパレアナの純愛物語なのかな? ってちょっと思ったんですが、まさかその通りとは思いませんでした。ドルチェにとって恋愛というのはパレアナとしたそれだけで、その後貴族のところにいって与えられたものは間違ってもそんなものではなかった。彼の中でパレアナはそういった対象から抜け切れないのは、ドルチェがまだ成長しきってないからな部分もあるのかと。

パレアナの甘さは、ドルチェのことをやっぱり好きだからなんだろうなって思いました。すげえかわいいなあ、この子。
パレアナは、甘いというよりも許容してくれる女の子って感じがしました。ドルチェのことが好きだからこそこんだけ許容できるんだよ……。好きでもないと無理だよこんなん。

 

後半の、ガウェインがドルチェを狙い撃つところが格好良すぎた。爺ちゃん罠張って待ち構えるのだって十分うますぎだろ……。読みながらぞくっとしました。してやられた気分。
あのシーン、ガウェインが元傭兵であるってことを再認識させられました。老兵格好良すぎ。

 

ガガガ文庫で出す前の、この時点からもう江波光則っぽさが全力ですごく良かったです。貴族と平民のカースト、根底に流れる薄ら暗さと、それでも最後に与えられた希望。出てきたキャラクター、全員がそれなりの傷を負って前に進む感じとかすごく好きです。こういうダークファンタジー好きなのですごく良かった……。
次は魔術師スカンクシリーズを読むかそれとも鎧武……鎧武はちゃんと話は見てるけど虚淵がなあ……。
仮面ライダー鎧武の戒斗の短編も書いてるんですよね。そっちまだ読んでいないので近々読みたいです。ただなー、他のインタビューで読んだ鎧武に関する虚淵玄氏の諸々が非常に嫌でそのあたり読みたくなくて読む気がしない……。インタビューで、とあるライダーに対する解釈が私と全く違うってわかって以降、虚淵氏のライダー関連あんまし見たくないところ。

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

仮面ライダー鎧武ザ・ガイド

 

 
余談ですけど、仮面ライダー555劇場版は桜庭一樹がノベライズしてたりしますよね。あれはちょっとキャラ改変な部分ありましたけど、桜庭一樹らしい小説になっているなーと思いました。 

555(ファイズ)

555(ファイズ)

 

 ファイズの小説は井上敏樹の異形の花々が有名になりがちですが、桜庭一樹のも良い話だなって思います。少なくとも救われている。異形は草加雅人が悲惨すぎて。

小説 仮面ライダーファイズ (講談社キャラクター文庫)

小説 仮面ライダーファイズ (講談社キャラクター文庫)

 

 異形の花々はなんか……なんて言ったらいいんだろうなあ。主人公は真理だと思いました。
異形、新しく出た方じゃない、古いほうが個人的には好きです。村上幸平氏の解説が入っているのがw 結局草加雅人は平成vs昭和といい本編といい木場勇治に殺される運命過ぎて。平成vs昭和は確実に狙ってるでしょうあれ。

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