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日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

清々しさのない学園小説「教場」

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教場

教場

 

清々しくない学園ミステリー

本屋で目立つところに置かれていて気になったので読んでみました。
警察学校がメインのミステリー小説ということで、調べてみたら「このミステリーがすごい!」でも2位になっていたそうです。
学園小説といえば、飛び散る青春の汗、青臭い友情、仄かに香る恋愛模様……なんてあるかもしれないですけど、この話は違います。何が違うって、年齢が違います。

舞台は警察学校。それ故、高校卒業後ぐらいの若者から三十路のお兄ちゃんまで年齢は様々。そして、雰囲気はむしろ悪い意味での体育会系。
でもまあ、性格の悪い教師だとか寮生活だとか共に何かを成し遂げるとか、ある意味とても学園モノっぽい要素も含まれています。っていうか今書いた学園モノっぽい要素、ハリポタっぽい要素だわ。意図せずして。
出てくる人もだいたい性格が悪かったり陰湿だったり。でもこんな学校いたらしょうがないわ~となる。

風間教官が格好いい

病気で休暇をとることになった主人公のクラス担任の代わりに現れたのが、風間教官。白髪交じりでどこか焦点のあってない人。
この人がめっちゃくちゃ格好いい!
出てきたシーンを見て「ジョーカー・ゲームの結城中佐みたいな人かな?」と思いましたが予想はだいたい正解というところでした。

冷静クールな教官が、生徒たちをしっかり見ていて、彼らが事件を起こしかけた時に大事にならない程度に手を出す。その塩梅具合が好きです。
ジョーカーゲームの結城中佐は調べること・生きていることにベクトルが向いているけれど、風間教官は誰かを助けるということ、静かに見守るということにベクトルが向いているのかな。
静かでクールな先生が生徒(場合によっては三十路)を見守る様というのはなんかいいなって思いました。……若さが足りない。

ミステリーとしては「?」ぐらい

もともと本屋で警察学校モノと書いてあって気になったから読んだのであって、ミステリーと思って読んだわけではありません。だから、てっきり変則学園小説と思ってたのですが、まさかミステリー小説カテゴリとは思いませんでした。

ミステリーとしてはちょっとどうかな?という感じ。ミステリーとしての伏線その他も弱め。しのぶの話なんて流し読みしてても落ちがわかっちゃったしなあ。
ただ、読者にも共に謎解きしてもらおうという意図があるのでしたら大成功だと思います。あんまりしっかり考えなくともわかるのだったら、一般人であるはずの登場人物でもわかるというのに説得力があるなと思います。

最初の話ほど後味が悪く、後になるにつれて清々しい話になっていくかんじ。風間教官の話はエピローグとしても、最後の話である都築の話はとても後味がよく爽やかで、してやられた感がありました。これはわからなかった。きっちり最初から伏線も張ってあったのに。
Amazonを見たら「こんな爽快な読後感の悪さは初めてだ!」とありますが、むしろ最初に質の悪い話を持ってきてくれていたおかげで読後感は上々。メインになったキャラはちゃんとそれなりの救済もありますし、後の話で元気な姿が見られるので。

都築は出てきた時から気になっていたキャラで、他の人物メインの話での飄々とした頭の良さそうなかんじから、彼メインの話になったら悩み事のある青年になったのがとても好みです。

連作短編のような形式なので、さらりと読むのに向いている感じ。

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