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こんなともだちほしいに決まってる「俺の女友達が最高に可愛い。 (GA文庫) あわむら赤光」

あらすじ

カノジョじゃないからひたすら可愛い&ずっと楽しい。

多趣味を全力で楽しむ男子高校生中村カイには「無二の親友」がいる。
御屋川ジュン――学年一の美少女とも名高い、クラスメイトである。
高校入学時に知り合った二人だが、趣味ピッタリ相性バッチリ!
ゲームに漫画トーク、アニソンカラオケ、楽しすぎていくらでも一緒に遊んでいられるし、むしろ時間足りなすぎ。
「ジュン、マリカ弱え。プレイが雑」
「そゆって私の生足チラ見する奴ぅ」
「嘘乙――ってパンツめくれとる!?」
「隙ありカイ! やった勝った!!」
「こんなん認めねええええええええ」
恋愛は一瞬、友情は一生? カノジョじゃないからひたすら可愛い&ずっと楽しい!
友情イチャイチャ満載ピュアフレンド・ラブコメ!!

こんなともだちほしいに決まってる

うおおおお可愛い、可愛いぞこれ……この価値観と距離感は可愛い……。

異性の友達と同性の友達、同じことをしていても周囲からの視線は全然違う。
主人公・カイが入学式の日出会ったのは、HRの直前からSwitchを出してガンガンゲームをしている隣の席の美少女・ジュン。
彼女とゲームやラノベ、アニメのヲタトークで盛り上がった主人公はそのまま家でモンハンをしまくる日々を送ることとなる。放課後ではいっつも一緒にゲームをする二人の、異性だけど友達の心地よい距離感のお話。

この趣味の合う友達って最高に良いよね。プレイしているゲームもおんなじ、好きな漫画の推しキャラもおんなじ。そんな相手がいたらぜひともお近づきになりたいし、楽しくヲタトークしたいし、四六時中萌話してたいもん。
カイとジュンの楽しげなハイテンションヲタトークが読んでいてひたすら楽しい。

「というか、男なのに少女漫画を読んでる俺のほうがキモくね?!」
「関係ないじゃん! いいものはなんだっていいよ!」
 再びハイタッチを交わす二人。
「俺、今まで男友達しかいなかったから、少女漫画の話は誰も乗ってくれなくって――」
「あたしも! 寂しかった!」
 三たびハイタッチを交わす二人。
「でもジュンは女子なのに!?」
「あたしの友達って、映画とかになるメジャーなやつしか読まない人ばっかなの。『とな怪』の先生の他のマンガも良かったよって推しても『フーン』て! 『フーン』て! つれぇわ」
「そりゃつれーっしょ!」
 さらにハイタッチ(略)。

わかる!!!わかるよ!!!!!!
こんなん絶対テンションあがるし仲良くなるし最高の友達になれる。絶対に。確実に。

しかも最初の趣味が近いので、そこから先に進むのも早い。
つまりは推しゲーや推し漫画の貸し借りをし、相手が自分の推しキャラにハマったので更に会話が盛り上がり、相手がだったらこの漫画も面白いよと貸してくれてハマり、このゲームも、こっちもと延々とループし続ける最高の永久機関が始まる。
うらやましい。こんな息が合う友達(同性でも異性でもなんでもいいから)ほしいに決まってる。

異性の友達って距離感がムズカシイ

ただ、二人の関係には盛大なる問題があった。それは性別。

例えば片方の家に入り浸るのだって、同性だったら気にならない。家で晩ごはん食って母ちゃんと仲良くなるレベルまで居着いているのも同性だったら周囲の人たちは気にしない。
でもカイはクラス内カースト下位のオタク男子で、ジュンはクラス内カースト上位の美少女だ。そんな二人が仲良ければ、当然問題は発生する。

ジュンの友人たちはカイが彼女の彼氏だと当然思い込み、ジュンたちのグループが気になってる男子はなんであいつばかりが構われるのだと気に食わない。なんでお前があいつの「恋人」なのだと喧嘩を売ってくる。
でもカイにとってジュンはどうやったって恋人じゃなくて【友達】だから、喧嘩を売られる理由も感覚もよくわかってないんだよね。そりゃ友達だからね……。

ここで、カイが鈍感主人公じゃないのが個人的にすごく良かった。おかげで「なんでみんなあんなことを言うんだ?」というクソダル展開が入らない。自分がジュンの恋人と思われていると理解していて、そのぐらいのポジションにいるともわかってて、その上で「自分はジュンの【友達】だ」と認識しているのがすごく良かった。
ジュンを女子と認識してるし、腕がくっついたら動揺するし、おっぱい触る?と言われたら触りたいけど触っちゃだめだとドキドキするけど、その上でジュンを【友達】と認識しているカイがものすごく好き。
ジュンもジュンで認識がおそらくカイと全く同じで、スカートのじゃれ合いやおっぱい触る?も女子同士のじゃれ合いに近い感覚なんだろうな。すごくその距離感……この距離感尊い……。

男子と女子で、思春期で、すぐ惚れた腫れたに発展するようなそんな時期に、友人という地位を選んで恋人よりもそちらを選ぶ二人がすごく良かった。

……というタイミングで告げられた、後輩女子のカイへの片思い。えええこれどうなるの。カイとジュンは付き合ってない、付き合ってないものの、これどうなっちゃうの……。
ものすごく続刊が気になるお話だった。

 

これは完全に余談なんだけど、同じ趣味の異性と仲良くなりたい(できれば恋愛関係になりたい)、男性向けだと「ギャルが俺の趣味に合わせてエロゲをプレイしはじめた」、女性向けだと「腐男子と仲良くなった」なのかなと思ってたけど、「オネエ男子と仲良くなって、可愛いものを共有したりメイク変えたら可愛いって言ってもらえて女子力を上げてもらう」も同じ系統か。おんなじものを楽しい/可愛いと言ってくれる相手ってやっぱり良いんだな。
オタクのヒロインというと個人的には俺妹を思い出すけど、あれは逆に「一般人の主人公がオタクのヒロインによってオタク文化に近づいていく」だった。

あの頃僕らが読み漁った傍観腐男子主人公(ただし前世は腐女子)「BLゲームの主人公の弟であることに気がつきました (ビーズログ文庫アリス) 花果 唯」

あらすじ

超フラグ乱立&スチル祭り! 腐女子が転生したのはBLゲームの世界!?

男子高校生・天地央は気がついた。ここが前世の自分=腐女子が愛したBLゲームのクリア後の世界で、しかも主人公の弟に転生したことに!
兄の情事を覗けると喜ぶも、失恋した攻略キャラ達のその後(アフター)も気になる!

彼らの新しい恋(ただしBLに限る)を見守ることこそが我が使命! と燃える央……だが気づけばクーデレな新キャラ相手にイベント発生??
生BLを拝めるご褒美ポジが一転、メインキャラに昇格!!? って、どうなる、元腐女子な僕の転生ライフ!

これ昔良く見たパターンだ!!

BL好きな主人公が自分のそばにいる生身の人間でカップリング作って楽しんでいたら、観察のために距離を詰めていたために彼らに惚れられ攻略されかけ、でも必死で「自分は観察したいだけ! 自分は攻略対象じゃない! お前とお前でくっつけ!」という物語、一時期よく見たぞ。オリジBLサイトで平凡腐男子受けってあったやつだ!!! めっちゃお世話になりました!!!
などということを読んでる最中に気づき懐かしくなった物語。
また、余談なんだけどWeb小説の書籍化なんだけど1巻できっちりまとまっていて、ちゃんと終盤に山場があって読みやすかった。山場なしになし崩しに終わるのあるからね……。

物語の主人公は、前世はBLゲーをプレイしまくっていた腐女子。ひょんなことから死に、兄とその親友がマジで致す5秒前のシーンを見た瞬間に前世で見たスチルが蘇り記憶を取り戻し――といったパターン。
ゲームでの発生イベント的に、この状況はすでに親友ルート突入済みで今の映像はほぼエンディング間近状態。親友ルート確定の現在、では他の攻略対象は? と主人公は他のキャラがどうなっているか気にしだす。

これ気持ちがちょっとわかる。
ゲームや小説の複数ヒロインモノってどうしてもメインから外れたキャラはその後出番が薄くなったり可愛いところや格好いいところの露出が減っちゃうんだよね。メインじゃないから当然と言えば当然なんだけど。その後彼らがどうしているか気にならないと言えば嘘になる。
そして見に行くことが出来るとなれば、見に行ったとしてもおかしくない。

そういう意味ではこれ、ゲームの世界にトリップというギミックをうまく使っている。
主人公は発生イベントを知っているからこそ、もう兄と親友がくっついたと理解できたし、これから先どうなるかはわからない。なおかつ攻略キャラのその後がきになるからという理由で彼等に接近していくのも理解できる。面白い。

 

失恋している人の相談に乗ると惚れられやすいみたいな嘘か真かか怪しすぎるネタもあるけれども、完全に主人公の立場はその状態。
失恋した攻略キャラたちが、好きだった相手の顔に似た相手に優しくされたらなんとなくくらっと来てしまう。例えば小悪魔系な受けや、前髪で顔があまり見えないが見えたらイケメンのヤンデレ用務員たち。彼らは主人公に優しくされて悩みを聞いてもらい徐々に主人公が好きになっていく。

とはいえ主人公は腐女子メンタル持ちとはいえ好きな相手は女子であり、出来ることなら女とイチャイチャしたい。そしてプレイしていたゲームでは彼ら(攻略対象キャラ)が好きなのは兄貴であって自分ではない。
なので自分は完全傍観者ポジション、最高の位置で彼らを眺めていられる! 出来ることなら用務員×小悪魔受けも見たい!!!などと、完全に彼らの恋心を範疇外にしてしまっている。

この微妙な鈍さ、普通の話だったらいらっとするけど、まあ性的対象が女かつ自分は主人公ではないと思っているならしょうがないかなと思えてしまった。
でも途中で「男好きなんじゃなく兄だから好きなんじゃないのか」みたいな発言を主人公がしちゃってるけど、これってもう完全にフラグだよね。

 

地味に気になってたんだけど、少女小説系でこういうTSFモノってどうなるんだろう。
主人公は一人称僕でメンタル的にもスキル的にもBLゲー関連以外はまったくもって普通の少年だから、腐男子と見たほうがいいのかな。『101メートル離れた恋』の感想では主人公の思考やメンタルは割と少年めと書いたけれど、これは逆に(逆か?)主人公のメンタルは少年に寄っている気がする。

つい先日、百合は百合レーベル以外でも出るけれど、BLはBLレーベル以外にあんまり見ないよねという話をした(フォロワーさんより昔の少女小説はBLもあったと教えていただいた)。この場合、主人公が男キャラとくっついたら、この小説はBLになるのか男女になるのかどっちなんだろう?

余談なんだけど、メンタルが完全に少年で前世に身に着けたスキルを利用するでもなくOLメンタルが欠片もない主人公のおかげで、年齢!年齢!年下に手を出す倫理!とキレずに済んだ。

ラストの畳み掛け真実がめちゃめちゃおもしろかった

とはいえ、主人公はゲームの主人公の弟キャラだ。くっつくのは物語転生系あるあるバグだけどね!と思っていたら、終盤の流れにめちゃくちゃ驚いたしサイコーに面白かった。

実はゲームは続編が出ていて、続編の主人公はまさかの前作主人公の弟、つまり自分。だからこんなにも様々なキャラが寄ってきたのだ、とわかる。

納得した。すごい納得した。
ゲームではあんまりないけど、BL漫画やBL小説でシリーズ化するようなやつって、だいたい主人公の当て馬だったキャラに別のキャラがくっついて~みたいなパターンあるじゃん。あれだった。完全にあれだった。納得した。
思い出すと少女小説でそういうスピンオフはあんまりないよね。なるほどBLならではというかなんというか。 この事実がわかった瞬間にそういうことか~~~~!とめちゃくちゃ納得してしまった。

そして、その事実を教えてくれたクラスメイトの白兎さん、彼女も転生者だった。
前世は腐女子の姉に強制的にBLトークをされたせいでプレイしていないゲームなのに中身を覚えてしまった弟だった。ああ……。ご愁傷様です……。
姉のせいでBL嫌いになった彼女(彼?)の目的は、自分の弟がBL空間に巻き込まれないこと。そのためには主人公(続編主人公)から遠ざけ、フラグを叩き折り、なにかあったら腕力で解決しようと体も鍛えていた。これぞセコム。こないだ読んだ本じゃないけど、正しくセコム。『乙女ゲームの世界でヒロインの姉としてフラグを折っています。』の主人公と同じポジション。
こういう女子すげーーーー好き。強い……格好いい……好き……。

前世では男だったというけれども一人称もわたし固定だしそれ以外も諸々普通に女子だよね。そこも含めてめっちゃ好き。
そして彼女が出てくることで、主人公誰とくっつくんだ問題もかなり彼女を推し始めた。前世でBL大好き腐女子で現在男子と、前世で姉のせいでBL大嫌いになった男子で現在女子。普通に有り得るカップルなんじゃないのかな。転生者同士っていうのも面白いし。

先がどうなるのか続き読みたいなと検索したら、おそらくこれ残念ながら続刊なしっぽい。
続刊を調べている最中に気づいたけれど、この本『多分僕が勇者だけど彼女が怖いから黙っていようと思う』の人のなんだ!?あれめっちゃ面白かったし良い幼馴染だったし、この本も良い幼馴染だった。続刊なしは残念だな。
仕方がないから続きはWebで読もう

ハイスペック幼馴染同士の両片思いラブコメ超可愛い「命じて!服従フロイライン (ファミ通文庫) 庄司卓」

あらすじ

ツンデレ×完全服従!?
「あたしに命令しなさいよっ!!」

玖鈴梅花は苛立っていた。科学マニアな幼なじみ・健児の事が気になって仕方がないのだ。
ある時彼に奇跡的なモテ期が訪れたために、自分の恋心をイッキに自覚してしまう!!
勢いで告白、初デートと、朴念仁な健児をよそに恋は順調に空回っていたが――その矢先、なんと梅花は事故で命を落としてしまう。
兄妹同然で育ってきた梅花のため、健児は秘密の実験成果を活用。
生き返った梅花は、何かが……ヘン?

闇の技術も恋のスパイス!?なミラクルラブコメ!!

ハイスペック幼馴染同士の両片思いラブコメ超可愛い

ツンデレ金髪クォーター運動神経バツグンヒロインという、要素盛り盛りてんこもり、あれもこれも積み上げたようなキャラは、それはそれで良いものだ。
そして、主人公もそれに釣り合うだけのキャラなのが本当に良い。美少女が何故か僕に惚れてくれるタイプも良いけれど、周囲が「あー……あの二人だったら最高に釣り合っているわ、この二人だったら付き合っていてもしょうがない、釣り合いが完全に取れてるわ」と思うようなカップルって、読んでて安心感があってなんだか良い。

作中で、主人公はメガネが壊れてしまったためにノーメガネでバレーをすることになる。メガネを外した素顔は存外にイケメン。もともと二枚目の男が格好良いというのは普通だが、メガネをした男がそれを外したらイケメンというのは話題になる。
という流れで女子ファンが出来て言い寄られる主人公と、それにもやもやするヒロインのやり取りがもー超可愛い。

「じゃあさ、彼女ならいい? 彼女! 私、彼女に立候補する!!」
「あ~~、抜け駆け! ずるい、ずるい!!」
「あのさぁ……」
 盛り上がる女子生徒たちに、健児がうんざりとした顔をしたその時だ。
「芸能人でも彼女でも何でも好きにしたらいいじゃないの」
 思いっきり棘のある声だ。
     (中略)
「なに怒ってるんだよ?」
 素直にそんな疑問が口をついて出てしまった。それが梅花の逆鱗に触れる。
 無言のまま梅花は右手を振り上げた。
 ぱぁーんという、乾いた小気味いい音が響き渡る。
「あんたなんか幸せになっちゃえばいいのよ!!」
 健児の顔を思いっきり平手打ちした挙げ句、梅花はそんな訳のわからない捨て台詞を残して、校門から外へ出ていってしまった。
 一瞬、周囲は静まり返ったが、集まっていた女子生徒たちはすぐさま歓声をあげる。
「うわ、びっくりびっくり! あれが噂のツンデレ?」
「荒城くんと玖鈴さんか。悔しいけど、お似合いね。美男美女のカップルだし」
「でも今の様子じゃ付き合ってる感じじゃないでしょ? 玖鈴さんのファンクラブも作るべきでしょう」
「あれ、男子の中でそんなこと言ってる奴いなかった?」

この流れがホント好き!
暴力ヒロインは普段はあまり好きじゃないのでそこは置いとくとしても、ヒロインが主人公に対して叫んだ言葉が恋心からであると周囲が完全に理解し、あーこの二人だったらしょうがないな、と思ってしまうような関係が一瞬でわかるような二人、本当に可愛い。

はっきりモブキャラたちが美男美女のカップルと言っているように、完全に釣り合いが取れていて、傍から見ていても全然違和感のない幼馴染カップル(かつ両片思い)。
当然周囲のキャラたちも応援するし、二人をくっつこうと動く。でも本人たちは自覚もあやふやだしある程度自覚してからも動きが鈍い。

あーもうじれったい。じれったくて可愛い。可愛いし、早く結婚しろ。
周囲は完全に夫婦扱いしているし、本人たちも相手が大好きでたまらないんだから、もうさっさと結婚しろ。

 

作中ではサブヒロインな立場の少女がもうひとりいる。彼女も主人公に対して矢印を向けているけれども、周囲の人たちは軽く察してはいるけれども応援するのはメインヒロインばかり。
この微妙さや、サブヒロインが将来的に可愛そうなことになりそうな、でも頑張ってくれそうなポジションなのがすごく良い。それでもくっつく相手は確実にヒロインになりそうなあたりも。

三角関係はその後のギスギスが嫌だから、このあたりはなんとかなってほしいなあ。

ヒロインが死ぬまでが長すぎる

Amazonあらすじにすらはっきりと書かれている『その矢先、なんと梅花は事故で命を落としてしまう』。
タイトルにもなっている『服従』はこれに関連していて、主人公が生き返らせたため主人公の命令に絶対服従となる。……となるのだけれども、そこまでたどり着くまでがとても遠い。あらすじに書いてあるのにとても遠い。

まずヒロインが死ぬのが開始から2/3。遠い。
なんかおかしいぞと思うまで更にもう数十ページ。遠い。
諸々発覚するころには4/5ぐらいかもうちょっと行っている。遠い。

なんかもう、あらすじに書いてある内容がほぼ1巻のメインの見どころになっちゃってるんだよね。おかげであらすじ+タイトルで想像するような『主人公の命令でえっちなハプニングが!』や、『主人公のえっちな命令であんなことやこんなことが!』は全く存在しない。ほぼ全くレベルではなく全く存在しない。
まず主人公が、自分が命令したらヒロインがそれに絶対服従!と気づくのがとても遅いので、その能力を実際に使ってみるタイミングがあまりに遠いからやりようがない。

つまり、1巻丸々壮大なプロローグ(もしくはヒロインが死ぬ前にどれだけ二人がラブイチャ両片思いか見せるための前フリ)だった。

 

ハイスペック幼馴染の両片思い(周囲は完全に夫婦扱い)はツボったのだけれども、楽しみにしている部分までがあまりに遠かった。
とはいえ面白かったので早く続きが読みたい。ツンデレ最強幼馴染は良いものだ。

セコム姉によるヒロインのためのフラグ叩き折り乙女ゲー「乙女ゲームの世界でヒロインの姉としてフラグを折っています。 (ビーズログ文庫アリス) 藤原 惟光」

あらすじ

可愛いヒロイン(妹)のために、攻略キャラとのフラグを折りまくります!

妹は前世でハマリ込んでいた乙女ゲームの最推しヒロイン。
そして私は姉の真梨香に転生した!
でも、このゲームの攻略キャラはヤンデレ王子や傲慢バカなど――ろくな男がいない!!
そんな『残念男』達のルートに突入すれば、可愛い妹は辛い思いをしてしまう。ならばいっそ、攻略キャラとのフラグを折ってしまえ!

そうして、攻略キャラ全員の様子を伺えるポジション=生徒会に潜入したけれど、なんだかゲームの設定とは違うような……!?

圧倒的フラグ折り力

セコムと呼ばれるポジションがある。
特定キャラに対して過剰な保護意識を抱いて、近づく敵っぽいやつやら恋愛的に興味がありそうなキャラやらを片っ端から遠ざけるタイプのキャラクター。ピクシブ辞典を見るとだいたい詳しく載っている→セコム (せこむ)とは【ピクシブ百科事典】
そして、この物語の主人公は、妹のセコムだ。

 

推しゲーの推しキャラの姉に転生し、攻略キャラにはろくな男がいねえので片っ端からフラグを叩き折り続ける主人公の物語。
方向性があまりにトンチキすぎて面白い。恋愛を邪魔するという意味ではとても正しく悪役令嬢をしている主人公だ。

 転生してよかったと思うのは、ゲーム画面では顔アイコンと、イベントスチルの一部、設定資料などでしか見ることができなかったヒロインの姿が、いろんな角度、表情で拝めることである。しかも全編フル動画。

そりゃあ相当幸せだろうなあ!
主人公の推しはヒロイン。そう、ヒロイン。攻略キャラでもなければ脇キャラでもなくヒロイン。
そして主人公の現在ポジションは、ヒロインちゃんの姉。

 攻略対象のイケメンたちでは私の可愛い桃香を幸せにはできない。それならばいっそ彼等の魔の手から大事な妹を守ってみせる、と。

転生前の記憶が蘇ると同時にそんな強い決意をしてしまった主人公が、片っ端からフラグを叩き折りまくる。

本来ならばヒロインと攻略対象が出会うポイントで攻略対象を池に叩き落としてフラグアイテムの交換を阻止し、本来ならばヒロインがパーティに制服で参加したことをバカにされるイベントが発生するのでその前に自分が同じ学校に入学した上で制服で参加し他にも同じようなことをする生徒を増やそうとし、特待生の地位が低いならばヒロインが入学する前にあげてやると生徒会で奮闘する。
こいつ、完全に妹のために動いている。完全にすべてが妹のためになっている。

 

当然、そんな目立つことをしていれば他人から目をつけられるし、乙女ゲーの攻略キャラたちも主人公へと目を留める。
しかし主人公に見えているものはただ一つ、妹の幸せのみ。自分にモーションかけてくる女好きキャラも邪魔物にしか見えなければ、本質はヤンデレなキャラが自分になんとなく矢印を向けていても見向きもしない。こちらに興味があるふりを見せているキャラはそれ以前に出会いフラグを叩き折っているから眼中にすらない。

 もちろん、桃香が恋する相手が攻略対象だった場合は、彼女の幸せのために応援する覚悟はある。その場合は全身全霊をもってバッドエンド回避に尽力してみせる。

というものの、その前に恋するルートに入るのがとっても難しいよう出会いフラグすら潰している主人公。あまりの徹底っぷりに笑ってしまった。

ヒロインに対するフラグが折れたキャラたちは、当然のように主人公に矢印を向けてくるものの、当然主人公はそんなもの眼中にない。視界にいるのはただ一人妹であり、幸せにするべきあいては妹のみ。その徹底っぷりが面白かった。

こうなると妹が入学してから一体どんな波乱万丈が起きるのか気になりすぎる。

勿体ないのは、物語が学校でのものが大半で、主人公が最愛の相手である妹がどのぐらい可愛いのかの描写が少ないこと。もっと妹溺愛するだけ可愛いキャラだというのを見せてほしかったな。それもそれこそ続刊に期待。

 

とはいえ、発売が2017/7で現在まで続刊なしでなろう小説ということは、もうこれは続刊絶望的なのかな。Webだと続きが読めるようなのでこちらを読んでみたい。
読書メーター見る限り、もしかしてWebだとかなり開始の状況が違うっぽいし楽しみ。

僕をからかってくる後輩・佐伯さんとのゆるゆる同居ライフ「佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫) 九曜」

あらすじ

ちょっとHな女の子と同棲してみませんか?

高校二年生の春、ひとり暮らしを始めるはずだった僕こと弓月恭嗣は、何の冗談か不動産屋の手違いで、ひとつ年下の佐伯貴理華さんなる女の子と同居するはめになってしまった。
やたらと距離を縮めてきたがる彼女に、ささやかな抵抗を続ける僕だったが、なんと彼女も同じ高校!
学校でも家でも彼女に振り回される日々が始まって――。

常に冷静な弓月くんと、とびきりの美少女なのにちょっとHな佐伯さんが繰り広げる同棲&学園ラブ・コメディ、開幕です。

僕をからかってくる佐伯さんとのゆるゆる同居ライフ

あらすじ通りに言うならばちょっぴりえっちな言動をして僕を揺さぶってくる佐伯さんとのほのぼの同居ルームシェアライフの物語。

「弓月くん、お風呂沸いたよ」
 背中で佐伯さんの声を聞く。
「お先にどうぞ。僕はもう少し片付けておきたいので」
「じゃあ、そうする。……覗くなよぉ?」
「覗きませんよ」
「む。そっけない反応。面白くないの」
 どうやら僕はご期待にそえなかったらしく、佐伯さんの口調には若干不満の色が滲んでいた。
「これくらいで動揺してたら、このさき身が保たないでしょうからね」
   (中略)
「どうかしました?」
「一緒に入る?」
「っ!?」
 さすがにこれには平常心を保てなかった。危うくつんのめって、段ボール箱に頭から飛び込みそうになる。
「これから一緒に暮らすわけだし、親交を深めるのって大事だと思うなー。だったら、お風呂ってちょうどいいんじゃない? 学校の水着くらい持ってるでしょ?」
「な、何を……」
 本気か? と、振り返れば、彼女はぎょっとしている僕を見て、してやったりとばかりに笑っていた。また僕をからかっていたらしい。

最初っから主人公へ好感度MAXな雰囲気、もしくはからかい上手の高木さん的なテンションで迫ってくる佐伯さん。やってることはえっちぃ(男女逆ならば一発アウトのセクハラ風味ですらある)言動なのに小悪魔にならないところがすごい。ぎりぎり清楚というか、可愛いというか、そんなラインで収まっている。
これって表紙のフライさんの力もあるんだろうな。表紙で本を選ぼうとした時に最初に目に入ったフライさんのイラストが頭にあるせいで、えっちよりもどことなく簡単に折れてしまいそうな後輩の女の子の雰囲気がある。それが本文からも滲んできているのか、それとも私が表紙に目を奪われその印象を最後まで崩せなかったのかわからないけれども、佐伯さんは最初から最後まで、時々主人公を揺さぶるけれども可愛い後輩の女の子だった。

佐伯さんもギリギリのラインで可愛さを維持しているが、主人公もまたすごい。この主人公、難聴主人公ではない。
相手の考えていることを理解しているし、読者が察する程度の他者からの好意は察してくれている。おかげで読んでいて地味なストレスがなくて良かった。読んでいて楽しい。

個人的に好きなのは宝龍さん。

「お互い好きでもないのに付き合ってみた男女を、僕は知っています」
「奇遇ね。私も知っているわ」
「……茶番でしたね。あれと同じ轍は踏みたくないものです」

そんな会話を静かにこなす高校生。そんなん惚れてしまうだろ。

 

ちょっと気になったのはストーリーのほうで、あんまり話自体が進んでいるなと思えなかった。
主人公から佐伯さんへの好感度は少しずつ上がっているように思えるけれども、主人公の内面の描写が薄めで(おそらくわざと)さっぱりとした空気にされているので、どのぐらい現在佐伯さんを好きかわからない。
佐伯さんは最初から好感度がめっちゃ高い。じゃなきゃこんな雰囲気の女の子が他人と同居キメないでしょ。
キャラとキャラが近づくだとかそういうのもなく、なんとなくほのぼのとした空気の佐伯さんとの同居ライフを読むにはいいんだけど、もうちょっとそれぞれの感情が動いてほしかったかも。

そういう意味では最初は主人公へ好意はなく友情しかないような空気だったのに、佐伯さんとともにいて雰囲気が変わった(らしい、佐伯さんといる主人公しか見てないからわからないけど)主人公に対して興味を持ち、これからなにか仕掛けてくるような言葉を残した宝龍さんのこれからが気になる。