日々放置プレイ

読んだ本と見た舞台の感想

僕の知らないラブコメ 2 (MF文庫J) (MF文庫J)

晴れて希美と付き合うことになった僕、芦屋優太。少しずつ二人のこれからの思い出を作っていこうとしていたのだけど、僕の意図していないタイミングでの早送り能力が発動してしまう。気づけばクラスの風紀委員、柊木美月の制服盗難疑惑が僕にかけられていた!どうして僕がそんなことを!?さらには一緒に風紀委員をすることになっていたり柊木に希美との関係を否定されてしまったりと、僕の日常は変わってしまった…僕の知らないうちに一体、何が起きたのか、全てを知るために僕は動き出した。他でもない、希美との未来のために―「一人じゃ意味がないんだ。希美と同じ場所にいて同じ時間を過ごさないと」第13回MF文庫J新人賞最優秀賞受賞作!

 時間をスキップしてしまう能力を身に着けた主人公が、面倒くさいことがありスキップしたら学年一の美少女だけど超不良の少女と付き合っていたんだけどどういうこっちゃ!?なラブコメの第二巻。

 今回は、まさかの理由で時間スキップしちゃった主人公が、その間起きてた「同級生の制服をくんかくんかしていたのを目撃された」ということから始まったあれこれで奮闘する話。

 前回はスキップした時間のことは記憶に残らないからなんで希美と付き合ってたわからかない、怒られないために彼女のことを好きだと思い込もうとしていくけれど……というドタバタラブコメだった。
 今回はスキップした時間のことはわからないからその時なんで自分がそんなことしてたかわからない!というちょいミステリーっぽい要素もある話になったのが面白い。
 というか、そうだよねー、こっち方面にもいくらでも広げられるよねーという印象。あの時自分が何をしてたか訊くわけにもいかないし、理由を訊かれても話せないんだしね。
 個人的には前巻は「よくわからないけど美少女に惚れられて?!」系ラブコメの亜種みがあったのでこっちのほうが面白いかも。

 今回のヒロイン柊木さん、まっすぐだからこそ希美とは全然合わない!みたいな子だけど、希美はそこまで嫌ってないあたり根は本当に良い子だよなー。
 みんなのために風紀委員をしているタイプだし、きっと本当に学校自体が好きなんだろうな。誰かのためになりたい真面目ちゃんといった雰囲気で可愛かった。
 だからこそラストであそこで一人で突っ込んでいっちゃう理由もわかっちゃうし、その正義感をほっとけないし可愛いとも思ってしまう。まあ性癖矯正のために体触らせちゃいます!はちょっとどうかと思ったけどね、可愛いよね。好きだからなのはわかるけどね。好きな人相手だと自制心がちょいぶっ壊れちゃう柊木ちゃんはとてもかわいい。

 そして、柊木ちゃんと芦屋が一緒にいるからって嫉妬しちゃう希美が可愛いよー可愛いよー! 嫉妬してるってはっきり言えちゃう希美が可愛いし正ヒロインの風格。とても良い。
 柊木ちゃんによる希美接触禁止令が出ているので希美とのラブコメは少なめでしたが、それでもごちそうさまでしたという気分。
 というか、接触禁止令出てる割に普通に接触してたな。ばらされたら困るけど守る気は皆無だったな。主人公のそこら周りちょっとどうかと思うの。

 時間スキップに関しては前巻のほうが扱いが面白かったなー。
 芦屋の逃げ癖の象徴だし面倒くさいときにスキップしてしまえばいいやと繰り返すうちにドツボにはまっていく流れが物語として面白かった。
 けれど、前巻ラストでこれではだめだと一念発起してしまったからこそもう気軽に時間スキップは使えないし、使うためにも今回冒頭みたいなそんなんあり?と言いたくなるようなやり方や、ラストのようなあ~それはしょうがないな……という使い方をしてかなきゃならない。
 話のフックが時間スキップなのに、能力的にではなく精神的に使いづらいアイテムになっちゃったの勿体ないかも。

 この話は前の巻からもわかる通り完全に希美がメインのラブコメなので、柊木さんは負けヒロインとはわかってても感情移入しちゃって可愛かった。
 ちなみに一押しヒロインはヒロイン戦争の土俵に上がらないタイプの中学生ヒロインです。

 面白かったけれど続き出たら読む?と訊かれれば若干迷う感じ。

小さな疑問が故人の別の一面を描き出す「神様の裏の顔」藤崎 翔

神様のような清廉な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみで包まれ、誰もが涙した――と思いきや、年齢も職業も多様な参列者たちが彼を思い返すうち、とんでもない犯罪者であった疑惑が持ち上がり……。

 神様のような前任と思われていた人もちょっとした人間っぽい部分があるよねー、という会話から、次々と他の人の記憶と出来事が繋がっていって、一面だけじゃ知らなかったら絶対に想像できないような側面が現れていくのが面白かった。

 最初の章でひたすら良い父親だった良い教師だった良い家主だったと語られていく流れは、誰から見ても完璧なる善人だったと示す部分。
 それが、次の章、また次の章になるに従って次第にもしかして……の部分が増えていくのが面白いし、善人だったという紹介の箇所すらももしかして……の論拠になるのがまた面白い。
 ちょっとしたことが次の人の物語に絡んでいくのすごい楽しかった。その分度の人とどの人がどういう関係で何が起きたかを覚えてなくちゃならなくて、少し頭を使ったけれど。

 ストーカー被害にあってた子の話が一番流れが面白かったなー。
 自分のストーカーがやったに違いない、先生はありえない、だってパソコンは使えないしスプレーなんて持ってないという彼女の思い出話。しかし読者はその後同じアパートの店子の人の回想によって故人がパソコン技術を習得したことを知ってしまう。
 じゃあつまり……? とドキドキしながらページを捲ってしまった。

 正直50%ぐらい読んだ時点で、登場人物たちが顔突き合わせて何があったか話し合い時系列をまとめだしたあたりで「つまりこれは先生がやらかした事件ではないのだな?」と気付いてしまったのが残念。
 ただ、そこからの謎解き、どんでん返しは最高に面白かった。
 けれど、本当の大オチというか二重人格オチはまたかよ……となってしまったし、別にそうしなくても良くない? と思ってしまったので残念。

 読み終えてから気付いたんだけど、読者は結局一度たりとも「先生」の生きている姿を見たことが無いのか。
 知っているのは他人から語られる姿のみ。そういう意味でもとてもおもしろかった。